株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

悪性関節リウマチ[私の治療]

No.5076 (2021年08月07日発行) P.34

杉原毅彦 (聖マリアンナ医科大学リウマチ・膠原病・アレルギー内科准教授)

登録日: 2021-08-07

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 悪性関節リウマチ(MRA)は関節リウマチ(RA)に複数の関節外病変を合併する疾患群であり,間質性肺疾患(ILD),リウマトイド血管炎,リウマトイド結節,上強膜炎または虹彩炎などの症状が知られる。年齢のピークは60歳代で,男女比は1:2である。

    ▶診断のポイント

    RAの確定診断,関節外病変の評価,血清学的所見から診断する。血清学的には,RF 960IU/mL以上と低補体血症がMRAの認定基準の項目となっている。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    リウマトイド血管炎は末梢動脈炎型が多く,多発性神経炎,皮膚動脈炎に伴う網状皮疹,紫斑,皮膚潰瘍,梗塞,指趾壊疽が特徴的である。全身血管炎型では結節性多発性動脈炎(PN)に類似した病態となり,中・小型の血管炎による多彩な臨床症状を示し,滲出性胸膜炎または心囊炎,心筋炎,血管炎による虚血,壊死に起因した腸管・心筋・肺などの臓器梗塞が知られる。糸球体病変を認めることは稀である。病理学的には壊死性血管炎(PN型),肉芽腫性血管炎ないしは閉塞性内膜炎を認め,紫斑部位では白血球破砕性血管炎を認める。同一患者内で病理学的に異なるタイプの血管炎が認められることがある。

    治療方針を組み立てるときには,病変の広がりに関して全身評価を行い,主たる治療対象を定める必要がある。大きく3パターンにわかれることが多い。パターン1は関節外病変を複数認めるが,治療の主体が関節炎,パターン2は治療の対象がILDと関節炎,パターン3は主たる治療対象がリウマトイド血管炎である。

    パターン1の場合はRAの治療指針に従い,メトトレキサート(MTX)をアンカードラッグとした寛解あるいは低疾患活動性を目標とした治療方針となる。MTX無効例では生物学的製剤あるいはJAK阻害薬を使用する。関節外病変はILD,リウマトイド結節,上胸膜炎のいずれかのことが多い。ILDは治療対象でなくてもRAのコントロールが悪いと進行することがあるため,抗リウマチ薬による疾患活動性のコントロールが重要となる。

    パターン2の場合は,ILDが主たる治療対象となり,亜急性の経過で画像上の進行を認める場合は,中等量以上の副腎皮質ステロイドとタクロリムスの投与を開始する。急性の経過の場合は,高用量の副腎皮質ステロイドとシクロホスファミドの月1回点滴静脈注射で寛解導入療法を開始する。維持療法はタクロリムスあるいはアザチオプリンを使用する。副腎皮質ステロイドの減量中に関節炎で再燃する例が多く,その場合は生物学的製剤の投与を開始する。ILD合併RAに対するアバタセプトの治療効果は後ろ向きコホート研究で報告されており,他の生物学的製剤では報告が乏しいことから,アバタセプトを使用することが多い。生物学的製剤単剤で有効性が高いトシリズマブを関節炎のコントロールに使用することもある。

    パターン3はPNに準じた治療となり,高用量の副腎皮質ステロイドとシクロホスファミドの月1回点滴静脈注射で寛解導入療法を開始する。維持療法はMTX,タクロリムスもしくはアザチオプリン,あるいは生物学的製剤を使用する。

    残り1,307文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連物件情報

    page top