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【識者の眼】「外来機能の明確化とかかりつけ医機能」草場鉄周

No.5071 (2021年07月03日発行) P.62

草場鉄周 (日本プライマリ・ケア連合学会理事長、医療法人北海道家庭医療学センター理事長)

登録日: 2021-06-22

最終更新日: 2021-06-22

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厚生労働省・医療計画の見直し等に関する検討会で昨年12月に示された「外来機能の明確化・連携、かかりつけ医機能の強化等に関する報告書(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000704872.pdf)」がある。これはコロナ禍の最中である昨年2月から1年弱にわたって展開された議論の要約である。コロナ禍による外来医療の需要の減少、そして中期的な人口減少と高齢化による地域での需給バランスの変化を視野に入れて、医療資源を効果的・効率的に利用していくという視点が基盤にある。ただ、同時に「予防や生活全般に対する視点も含め、継続的・診療科横断的に患者を診るとともに、必要に応じて適切に他の医療機関に紹介するなど、かかりつけ医機能を強化していくことが課題」とされ、まさにプライマリ・ケア機能を地域包括ケアシステムの中で発揮している外来医療の推進も大きなテーマになっていることが分かる。

具体的な施策としては、外来医療に関するデータを収集する仕組みの構築が提示されており、まず「医療資源を重点的に活用する外来」のデータ収集からスタートすることが合意されている。これはいわゆる紹介状の必要な専門診療の外来がイメージされており、基本的には病院が対象である。

これも大きな一歩であり歓迎したいが、医療資源を重点的に活用する外来の対極にある、かかりつけ医機能を担う外来についても是非データを収集すべきであろう。現行の出来高払いの外来診療では、多疾患合併の高齢者について高血圧、心疾患、糖尿病、認知症、慢性湿疹について幅広く時間をかけて丁寧に診療しても、脂質異常症のみを持つ中年患者を短時間で診療しても、再診料・特定疾患療養指導料で同一の報酬である。検査や投薬をむやみにせず、生活習慣の行動変容に力を入れた場合、むしろ検査実施による検査の判断料や投薬による処方料がない分、報酬は少なくなる。こうした矛盾を解決するために、まずはデータに基づく議論をスタートすることを強く期待する。

草場鉄周(日本プライマリ・ケア連合学会理事長、医療法人北海道家庭医療学センター理事長)[総合診療/家庭医療]

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