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咽頭炎[私の治療]

No.5061 (2021年04月24日発行) P.41

志和成紀 (東京都保健医療公社豊島病院耳鼻咽喉科部長)

登録日: 2021-04-25

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  • 咽頭粘膜およびリンパ組織の炎症の総称である。急性と慢性,特殊感染症などがある。急性は一般的な上気道炎といわれるウイルス感染によるものと細菌感染のものがあるが,両者の合併(混合感染)もありうる。慢性は喫煙などの慢性の物理的刺激,塵埃・後鼻漏による刺激,乾燥,花粉症を含めたアレルギーなど,原因は多種多様である。

    特殊感染症として,ジフテリア,梅毒,結核などは昔はやって最近ではみられなくなっているが,外国人の流入が多くなり,散発される。また,性習慣の変様により,クラミジアや淋菌による咽頭炎もみられる。HIV感染症の初期症状として咽頭炎を発症することも少なくない。

    ▶診断のポイント

    急性咽頭炎では,咽頭痛や嚥下時痛が主症状である。発熱などの全身症状も伴うこともある。炎症が著しく,唾も飲み込めないような場合は喉頭蓋炎や喉頭浮腫など,緊急性の高い病態も念頭に置く必要がある。局所所見としては,咽頭後壁の発赤,側索の発赤,リンパ濾胞の発赤腫脹,軟口蓋の浮腫などがみられる。

    慢性咽頭炎では,咽頭異物感・違和感・乾燥感などを訴えて受診する。発熱などの全身症状は伴わない。喫煙や気管支喘息(ステロイド吸入薬使用状況),糖尿病などの合併症の有無を聴取することは重要である。

    特殊な咽頭炎では,渡航歴の有無や性交渉に関する問診などが必要となる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    基本的には,免疫力を回復させるために,十分な休養と適切な水分・栄養補給を指導する。また,乾燥時期には適度に部屋を加湿することを推奨している。適宜症状に合わせ,下記処方で対応する。ただし,単なるウイルス感染による咽頭炎だけではなく,細菌感染も合併することもありうるので,発熱,咽頭痛などの症状が強い場合には抗菌薬を追加する。軽~中等症例は内服でよいが,重症例は点滴静注を考慮し,さらに経口摂取困難である場合は入院治療も検討する。

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