今年発足した「コクラン共同計画」日本支部の代表に就任した。コクランは、診療行為や臨床課題の研究を網羅的に集めてまとめたシステマティック・レビューを発信し、根拠に基づいた医療を推進する国際組織。NICE(英国立医療技術評価機構)で2つの診療ガイドライン作成に従事した経験を持ち、日本でレビュー執筆の講座を開いて普及に努めてきた森さんに、本部から白羽の矢が立った。
コクランのレビューには必ず一般向けの要約が付いており、英語圏の患者は信頼性の高い医療情報を手に入れられる。支部発足により「日本の患者もコクランの成果を活用できるよう目指したい」と森さんは語る。
専門は新生児医療と国際保健。現在、特に力を入れているのが「診療の質向上のパッケージ」構築の研究だ。データを基に各施設の得意・不得意分野を分析し、ワークショップを開催して改善計画を立ててもらい、その効果を検証する。周産期母子医療センター間でも死亡率に10倍以上の差があり、「お互い学び合うことで救える命もある」。日本での検証後は世界レベルでも同様の研究を行う予定だ。
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