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【識者の眼】「真の費用対効果を考える〜医師と患者の関係:その1」三宅信昌

No.5049 (2021年01月30日発行) P.59

三宅信昌 (三宅整形外科医院院長、日本臨床整形外科学会参与)

登録日: 2021-01-12

最終更新日: 2021-01-12

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真の費用対効果において、医師と患者さんの関係が重要です。今回はその中で服薬に関する用語解説を含めた話をします。

患者さんは医師の前では「私はしっかり服薬しております」と言っていても、実際には「服薬忘れ」をしている事もあり得ます。もしその時データが悪い場合には医師は薬が効いていないと判断してしまいますが、結論としては服薬減少による効果減少ということになります。そのような状況を医師として判断することは難しいです。このため、患者さんの受け身的な服薬から積極的な服薬への変更を考慮する必要があります。以下その用語解説を致します。

薬コンプライアンス(compliance):患者さんが医療側の指示に従う服薬(受け身的な服薬)医療者が治療方針を決定し、患者さんがその指示になんとなく従う服薬です。医師の一方通行的な指示によって患者さんは萎縮し、自己管理ができない場合が多いです。

服薬アドヒアランス(adherence):患者さんが治療に対して積極的に行う服薬患者さんが治療の必要性や服薬方法を理解し、前向きな服薬を行います。そのような意思を持った患者さんは自ら忘れないようにしっかり服薬します。

服薬コンコーダンス(concordance):医師と患者さんで治療方針を一致させた服薬(英国用語)医療側と患者さんが合意して治療方針を決定し服薬をします。重要な点は、医療側が患者さんのライフスタイルと治療に対する価値観を理解する事、患者さんが治療に対する知識を得ることです。

人間50歳を過ぎれば種々の病気が生じることは仕方ない事であり、医師として患者さんが治療に対する積極性を高めるためには、服薬治療している疾患が特殊ではない点を強調し、疾患と上手く付き合ってゆくことを指導することが重要です。現在の医学・薬学は発展しており、しっかり服用することで、幸せな生活が保たれることをアピールしたいです。そのように理解してもらえれば、服薬コンコーダンスが保たれて疾患コントロールされ、患者さんがストレスから解放されると思います。

また、服薬だけでなく、自己注射製剤や外来処置も同じ論法だと思います。

三宅信昌(三宅整形外科医院院長、日本臨床整形外科学会参与)[診療報酬関連]

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