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■NEWS 21年度介護報酬改定の審議報告を次回取りまとめへ―介護給付費分科会

登録日: 2020-12-15

最終更新日: 2020-12-15

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厚生労働省は129日の社会保障審議会介護給付費分科会に、「令和3年度(2021年度)介護報酬改定に関する審議報告(案)」を提示した。介護医療院に療養病床の長期入院患者を受け入れた際の加算評価の新設や、訪問看護の「看護体制強化加算」の要件緩和などが盛り込まれた。次回の分科会で取りまとめる予定。

審議報告案は改定の基本認識である①感染症や災害への対応力強化、②地域包括ケアシステムの推進、③自立支援・重度化防止の取り組みの推進、④介護人材の確保・介護現場の革新、⑤制度の安定性・持続可能性の確保―の5つの柱に沿って改定内容を整理した。

このうち地域包括ケアシステムの推進では、看取り対応の充実を目指し、介護医療院などの基本報酬や、介護老人保健施設の「ターミナルケア加算」をはじめとする関連加算の要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」などに基づく取り組みを求める。

■訪看の「看護体制強化加算」は「特別管理加算」の割合を20%以上に緩和

介護医療院では、医療の必要な要介護者の長期療養・生活施設としての機能を強化するため、療養病床の長期入院患者を受入れた場合の加算(「長期療養生活移行加算(仮称)」)を新設。その際、▶入所者が療養病床の長期入院患者に該当、▶入所時に入所者と家族に生活施設としての取り組みを説明、▶地域の行事や活動への積極的関与―を要件として求める。介護療養型医療施設は、他の施設への移行などの検討状況について定期的な報告を義務づけ、期限までに報告がない場合は次の報告までの間、基本報酬を減額する。訪問看護の「看護体制強化加算」は、「特別管理加算を算定した割合」に関する要件を現在の「30%以上」から「20%以上」に緩和するとともに、訪問看護の提供に当たる従業員に占める看護職員の割合を「6割以上」とする要件を追加する(後者は2年間の経過措置を設定)。

自立支援・重度化防止の取り組みの推進では、訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションの「リハビリテーションマネジメント加算(I)」を廃止し、基本報酬の算定要件に組み込む。「社会参加支援加算」は、名称を「移行支援加算」に変更。算定要件の社会参加への移行状況の計算式や、リハビリテーション利用の回転率は実情に応じて見直す。施設系サービスでは、「口腔衛生管理体制加算」と「栄養マネジメント加算」を廃止。いずれも基本サービスに組み込み、利用者の状態に応じた口腔衛生管理または栄養管理の実施を求める(3年間の経過措置を設定)。「ADL維持等加算」は現在の通所介護に加え、認知症対応型通所介護、特定施設入居者生活介護、介護老人福祉施設などにも対象を拡大する。

■その他職種がその他介護職員の1/2以下のルールは存続、「特定処遇改善加算」

介護人材の確保・介護現場の革新では、「介護職員等特定処遇改善加算」の事業所内における平均賃金改善額の配分ルールを見直す。具体的には、「経験・技能のある介護職員」(勤続10年以上の介護福祉士)は「その他の介護職員」の「2倍以上」とする部分を単に「より高くする」に変更。「その他の職種」は「その他介護職員」の「2分の1を上回らない」とする部分は現行のまま据え置く。厚労省は当初、この部分も「その他の介護職員よりも低く」に変更する提案をしていたが、見送られた。

安定性・持続可能性の確保では、介護医療院への「移行定着支援加算」や「介護職員処遇改善加算」の(IV)・(V)を廃止。介護療養型医療施設(老人性認知症疾患療養病棟を除く)の基本報酬は、介護医療院への移行が促進されるよう、減額する方向で見直す。生活援助の訪問回数(訪問介護)が多い利用者のケアプランへの対応では、区分支給限度基準額の利用割合が高く、かつ、訪問介護が利用サービスの大半を占めるケアプランを作成する居宅介護支援事業者を事業所単位で抽出する、点検・検証の仕組みを新たに導入。6カ月の周知期間を設け、2110月から施行する。

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