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【識者の眼】「日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG)2020:多職種がもたらした輝き」小倉裕司

No.5043 (2020年12月19日発行) P.55

小倉裕司 (大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター准教授)

登録日: 2020-12-04

最終更新日: 2020-12-04

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敗血症は発症頻度・死亡率ともに依然高く、科学的なエビデンスに基づいた診療ガイドラインの意義はきわめて大きい。2020年9月、日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG)が4年ぶりに改訂され、日本救急医学会、日本集中治療医学会のホームページ上に先行公開された(https://www.jaam.jp/info/2020/info-20200925.htmlhttps://www.jsicm.org/news/news200930.html)。J-SSCG2020では、新たに注目すべき4領域(Patient-and Family-Centered Care、Sepsis Treatment Systemなど)が加わり、計22領域、118の重要臨床課題(CQ)を扱った国内最大級のガイドラインとなった。J-SSCG2020において2016から大きく進化した点として、組織面では①多職種のワーキンググループメンバーおよび患者経験者が作成に加わったこと、②両学会公募のシステマティックレビューメンバーの協力を得たこと、が挙げられる。特に①では、医師以外に看護師9名、理学療法士4名、臨床工学技士2名、薬剤師2名の多職種メンバーと患者経験者2名(うち1名は看護師)に参画いただき、計8領域のガイドライン策定に従事していただいた。実際に多職種メンバーと患者経験者が加わることで討議のバランスが取りやすくなり、多面的な考察によりガイドラインの内容の深みも増した。

中でも新規領域として“Patient-and Family-Centered Care”に注目すると、多職種の視点がいずれのガイドライン策定にも不可欠であった(以下、CQ抜粋)。

CQ20-2 敗血症患者あるいは集中治療患者に対してICU日記をつけるか?

Answer 成人の敗血症患者あるいは集中治療患者に対して、ICU日記をつけることを弱く推奨する(GRADE 2D:エビデンスの確実性=「非常に低」)。

CQ20-3 集中治療中の身体拘束(抑制)を避けるべきか?

Answer 成人の敗血症患者あるいは集中治療患者に対して、集中治療中の身体抑制を避けることを弱く推奨する(GRADE 2C:エビデンスの確実性=「低」)

CQ20-5 ICUにおける家族の面会制限を緩和するべきか?

Answer 成人の敗血症患者あるいは集中治療患者に対して、家族の面会制限を緩和することを弱く推奨する(GRADE 2D:エビデンスの確実性=「非常に低」)。

敗血症診療は、本来多職種が共通認識を持ってチームで臨むものであり、J-SSCG2020作成における多職種メンバーの貢献は診療ガイドラインに新たな輝きをもたらした。

小倉裕司(大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター准教授)[敗血症の最新トピックス⑪]

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