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老人性色素斑・肝斑[私の治療]

No.5041 (2020年12月05日発行) P.45

杉浦一充 (藤田医科大学医学部皮膚科学教授)

登録日: 2020-12-05

最終更新日: 2020-12-01

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  • 老人性色素斑は,中年以降の男女のほとんどに出現する。表皮ケラチノサイトの老化による異常が病因である。主に顔面や手背,前腕伸側などの露光部において,類円形で大小様々な褐色斑が出現する。境界は明瞭で,時に軽い落屑を伴う。一部は脂漏性角化症に移行する。
    肝斑は,メラノサイトのメラニン生成の増加が病因である。思春期以降,多くは30歳前後から始まり,日本人を含むアジア人女性に多い。単調で境界明瞭な褐色斑が,前額部,頰骨部,鼻背部,口囲などに左右対称に生じる。紫外線への曝露が発生や増悪の誘因になる。経口避妊薬,月経,妊娠によって発生・増悪する例が多いため,女性ホルモンの関与も示唆される。閉経し60歳を過ぎてくると,自然治癒に向かう。

    ▶診断のポイント

    上に記載したそれぞれの疾患の特徴を念頭に,色素斑の観察をする。炎症後色素沈着,後天性真皮メラノサイトーシス等の色素斑を生じる他の皮膚疾患との鑑別を考える。

    老人性色素斑の診断は,中年以上,露光部,境界明瞭,色素斑に鱗屑が付着する脂漏性角化症の混在等が,診断の目安になる。

    肝斑の診断は,妊娠または経口避妊薬の使用に関連した発症,肝斑の家族歴等の病歴と,顔に対称的に分布する色素斑の所見に基づいて行う。肝斑は頰骨に沿って拡大し,下眼瞼は避ける傾向がある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    老人性色素斑の場合は,疾患について説明し,治療の必要性はないことを伝える。そして液体窒素凍結療法,美白剤(ハイドロキノン,アルブチン,ルシノール,コウジ酸など),ルビーレーザー治療の説明をする。加齢に伴う疾患であるので,治療をしても新たに発症することを止めることはできないため,色素斑の減少をめざして治療している。皮膚科外来ですぐに実施できる液体窒素凍結療法を選択することが多い。液体窒素凍結療法では疼痛や紅斑,水疱,びらん,痂皮等が生じるので,この治療法を希望しない患者には,ハイドロキノンなどの美白剤を次の手段として勧める。ルビーレーザー治療は有効な治療法であるため,レーザー治療を希望する患者には施行する。

    肝斑の場合は,紫外線が最大の悪化要因であるため,日焼け防止として帽子の着用,広いスペクトラムの日焼け止めの使用など,日焼け止め対策の重要性について指導する。患者が治療を希望する場合は,治療効果には個人差があることを説明した上で,美白剤(ハイドロキノン,アルブチン,ルシノール,コウジ酸など),ビタミンC,トラネキサム酸の使用について説明する。
    表皮のターンオーバーを促進し,表皮内のメラニン色素の排出を高めるケミカルピーリングやトレチノイン酸(日本未承認)が美白剤と一緒に使用されることもある。

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