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【識者の眼】「脳卒中リハと脳卒中看護は社会的課題」峰松一夫

No.5039 (2020年11月21日発行) P.59

峰松一夫 (公益社団法人日本脳卒中協会理事長、国立循環器病研究センター名誉院長、医療法人医誠会臨床顧問)

登録日: 2020-10-28

最終更新日: 2020-10-28

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脳卒中は多くの職種が関わらなければならない疾患である。中でもリハビリテーションと看護は、大きな柱である。

リハビリテーションには、①医療保険を用いた急性期および回復期のリハビリテーション、②介護保険を利用した通所および訪問でのリハビリテーション、がある。①については、2006年度の診療報酬改定で、それまでの総合リハビリテーションから「疾患別リハビリテーション」制度に移行した。脳卒中に対して実施される「脳血管疾患等リハビリテーション」は原則180日が上限である。寝たきり防止と家庭復帰を目的として集中的なリハビリテーションを行う「回復期リハビリテーション病棟」には、脳卒中の場合、発症から2カ月以内に入院する必要があり、入院期間は原則150日(高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害の場合は180日)である。②の要介護者・要支援者に対する維持期・生活期の疾患別リハビリテーションについては、医療保険からの給付が2019年3月末を以て終了し、全て介護保険からの給付に移行した。制度が大きく変化し、混乱も生じている。患者・家族からは、維持期リハビリテーションの充実を求める声が大きい。

2010年8月より始まった日本看護協会認定「脳卒中リハビリテーション看護」の認定者数は、2019年7月現在772名と報告されている。この数は、年間30万人とされる脳卒中患者発生数、脳卒中を専門的に扱う一次脳卒中センター(日本脳卒中学会認定)の975施設(2020年4月)に比べると、著しく少ないと言わざるを得ない。日本看護協会は、2018年に認定看護師制度の見直しを決定し、2019年に19分野を指定した。この中に「脳卒中看護」が含まれ、急性期から在宅までを視野に入れた専門看護を目指すこととなった。育成の本格化が望まれる。

団塊の世代が後期高齢者に突入する2025年以降、急増が予想される脳卒中患者のリハビリテーションや看護の在り方は大きな社会的課題になるであろう。

峰松一夫(公益社団法人日本脳卒中協会理事長、国立循環器病研究センター名誉院長、医療法人医誠会臨床顧問)[脳卒中]

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