特定健康診査とその結果に基づく特定保健指導(いわゆるメタボ健診)は2008年(平成20年)度から我が国で行われている保健事業であり,腹囲,BMIの他に,血圧,HbA1c,LDLコレステロール値などを測定して,その結果により医師や保健師による指導を行うことになっている。
しかし,メタボ健診が実際に国民の心筋梗塞,脳卒中などの心血管疾患発症の低減に役立っているか否かについてはこれまで確かなエビデンスといえるものはなく,その運用を疑問視する声は少なくなかった。
2020年10月,福間真悟京大特定准教授らの疫学チームは,メタボ健診を受けた約7万5000人の追跡研究で,心血管リスク軽減効果がみられなかったという結果を米国内科学会誌JAMA Internal medicineに発表した1)。