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【識者の眼】「急性疾患の外来の受診間隔について教える」吉田 伸

No.5036 (2020年10月31日発行) P.62

吉田 伸 (飯塚病院総合診療科)

登録日: 2020-10-19

最終更新日: 2020-10-19

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前回(No.5026)から少し間隔が開いてしまったが、前回・前々回(No.5022)がオンライン化の話だったので、もう少し普段の診療の話に戻して行こうと思う。

プライマリ・ケア外来診療の研修指導をしていて、よく初期研修医や専攻医から「次回の予約はいつとればよいか」と尋ねられる。この質問に対し、自分なりの考えをまとめておく。ポイントは、“急性・亜急性・慢性に分け、予後が分かれそうなタイミングで予約を入れる”ことにある。

急性疾患については、「風邪(ウイルス性上気道炎)か肺炎か」を例にとるとよい。前者は自然治癒し、後者は抗菌薬治療と重症化すれば入院が必要である。しかし両者ともに発熱で受診し、咳、胸膜痛、肺雑音、バイタルサイン異常(頻脈、頻呼吸、低酸素血症)などがはっきりしなければ病初期の鑑別は困難なことがある。こんな時の次回予約を入れるポイントは“風邪なら解熱しているはずの3、4日後”である。この時期に再診すると、「風邪なら解熱しているはずなのにそうでないから」という理由をつけて、追加精査に踏み切れる。乳児や高齢者、基礎疾患を有する者など、症状がわかりにくかったり、ハイリスクな患者であれば、重症肺炎や敗血症などの早期診断が難しかったり進行が早い疾患を念頭に、さらに次回予約を短く提案する。いずれにせよ急性疾患は「1週間以内に一度予約を入れよう」と新しくプライマリ・ケア外来を始める医師には指導している。慣れてきて臨床経過が読めるようになってきたら、敢えてこちらから予約を入れず、患者・家族にうまく次回受診のコツを説明して経過をみてもらう、ということもできるようになってくる。指導時の説明には以下のようなを書くことが多い。参考までに。

次回は、亜急性の外来予約の取り方についてお話ししよう。

吉田 伸(飯塚病院総合診療科)[総合診療指導医奮闘記⑧]

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