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■NEWS 後期高齢者の窓口負担2割化、可能な限り広範囲で―財政審で財務省

No.5035 (2020年10月24日発行) P.69

登録日: 2020-10-13

最終更新日: 2020-10-13

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財務省は108日の財政制度等審議会財政制度分科会に、社会保障制度改革に関する資料を提出した。後期高齢者医療制度では、窓口負担2割化の対象を「可能な限り広範囲」に設定することや、負担能力の判定に際して金融資産の保有状況を考慮することなどを提案した。

財務省は現在の医療保険制度について、「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という全世代社会保障改革において問題とされるこれまでの社会保障の構造そのもの」と強い問題意識を表明。現役世代の保険料負担の軽減が急務だとし、後期高齢者医療制度の窓口負担について、▶可能な限り広範囲で8割給付を導入する、▶遅くとも団塊の世代が後期高齢者入りする2022年度初までに改革を実施できるように施行時期を定める―の2点を求めた。

また、高齢者は現役世代に比べて平均的な所得水準は低いものの、貯蓄残高は高いと指摘。医療・介護保険における負担のあり方を検討する際には、所得だけでなく金融資産の保有状況も勘案して負担能力を判定するべきとの考えを示した。窓口負担が3割となる現役並み所得の判定基準にも言及した。現在の判定基準では、課税所得要件(課税所得145万円以上)と世帯収入要件(収入額の合計が単身383万円以上、世帯520万円以上)の両方に該当する場合と定められているが、財務省は世帯収入要件があるために現役並み以上の所得があっても、3割負担とならないケースがあるとして、世帯収入要件の見直しを要求した。

薬剤費の適正化策では、新規医薬品の保険収載について、▶財政影響を勘案して新規医薬品の保険収載の可否を判断する、▶新規医薬品の保険収載と既存医薬品の保険給付範囲の見直しを財政中立で行う―など、医薬品に対する予算統制のあり方の抜本的見直しを提案。既存医薬品の保険給付範囲に関しては、▶医薬品を保険給付範囲から外すとともに、患者負担が増大しないように保険外併用療養費制度に新たな類型を設ける、▶薬剤の種類に応じた患者負担を設定あるいは、薬剤費の一定額までを全額患者負担とすることなどにより、医薬品を保険収載したまま保険給付範囲を縮小する―の2つの方向性を示し、幅広い視点での議論を促した。

21年度の中間年薬価改定は全品を対象に実施を

21年度から開始予定の中間年の薬価改定では、対象品目について、全品改定を視野に、薬価の水準が高いために乖離率が相対的に小さくなりがちな先発医薬品も幅広く含めるべきだと主張。改定後の薬価を算出する際に、市場実勢価格の加重平均値に上乗せする調整幅についても、「一律に2%とされたまま、約20年間見直しがされておらず、その合理的な根拠を含め、あり方を見直すべきだ」と提言した。

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