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小児膵腫瘍の外科的治療

No.5029 (2020年09月12日発行) P.48

矢野圭輔 (鹿児島大学小児外科)

家入里志 (鹿児島大学小児外科教授)

登録日: 2020-09-11

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 【完全切除と病理組織診断が重要】

小児の膵腫瘍は非常に稀であり,多彩な臨床経過と病理像を呈する。1984年4月~2017年12月の33年間に当科で経験した小児膵腫瘍症例は7例であった。初回手術時年齢は8~15歳(平均11.7歳,中央値11歳)といずれも学童期以降で,男女比は3:4であった。腫瘍占拠部位は膵頭部1例,膵体部6例であり,術式は膵頭部腫瘍に対する幽門輪温存膵頭十二指腸切除術1例,膵体尾部切除術5例(うち腹腔鏡下脾温存膵体尾部切除術1例),腫瘍核出術1例であった。病理組織学的診断はsolid pseudopapillary neoplasm(SPN)が4例,横紋筋肉腫1例,過誤腫1例,神経内分泌腫瘍1例であり,死亡例はなかった。

膵SPNの1例は,8歳の初回腫瘍核出術時に腫瘍の穿破をきたし,3年後再発と再核出術を経て,15歳時に再再発に対し膵頭十二指腸切除術が施行された。他の1例は11歳,腫瘍径8cmの巨大な膵SPNであったが,筆者らは,腹腔鏡下脾温存膵体尾部切除術が安全に施行可能であったことを報告した1)

小児の膵腫瘍は良性・低悪性度のものが多く,成人型の膵癌やリンパ節転移は稀であり,外科的完全切除と病理組織診断が重要である。患者年齢や腫瘍の部位,腫瘍径によっては,低侵襲な腹腔鏡手術も選択肢となりうるため,慎重な術前診断と術式選択,加えて長期フォローが必要である。

【文献】

1) Yano K, et al:JLAST Videoscopy. 2018;28(5).

【解説】

矢野圭輔,家入里志 鹿児島大学小児外科 *教授

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