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副咽頭間隙に発生する神経鞘腫の診断・治療・合併症

No.5024 (2020年08月08日発行) P.51

猪狩雄一  (川崎市立川崎病院耳鼻咽喉科医長)

佐藤陽一郎  (済生会宇都宮病院耳鼻咽喉科医長)

登録日: 2020-08-05

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  • 副咽頭間隙に発生する神経鞘腫の報告は少ないとされています。診断や治療,合併症などについて,済生会宇都宮病院・佐藤陽一郎先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    猪狩雄一 川崎市立川崎病院耳鼻咽喉科医長


    【回答】

     【由来神経の術前診断は難しく,慎重に手術適応を判断する必要がある】

    副咽頭間隙腫瘍は無症状であることが多いです。腫瘍が副咽頭間隙内で緩衝されるため,ある程度増大しないと腫瘤自覚などの症状は出現しません。そのため,多くは画像検査での偶発的発見ということになります。

    診断においては,副咽頭間隙内での腫瘍の位置を見きわめることが重要です。副咽頭間隙は,解剖学的には茎状突起や口蓋帆張筋などの位置から「茎突前区」と「茎突後区」に分類されますが1),これは内頸動脈,内頸静脈の位置関係で診断する方法が容易であり,腫瘍によりこれらの大血管が前方に偏移していれば,腫瘍は後区に存在していると言えます。また,後区に存在する腫瘍の多くは神経鞘腫であることから,診断は比較的容易です。問題は神経鞘腫の由来神経となるのですが,神経脱落症状を認めることが少なく,その推測は困難です。内頸動脈,内頸静脈の走行位置により由来神経を推測するという報告もありますが2),一定の見解が得られていないのが現状です。術後の神経脱落症状で診断がつく場合も少なくありません。

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