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産科医療補償制度に基づく原因分析により,新生児の脳性麻痺に起きた変化とは?

No.5023 (2020年08月01日発行) P.52

増山 寿  (岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 産科・婦人科学教授)

下屋浩一郎  (川崎医科大学産婦人科学教室1教授)

登録日: 2020-07-31

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  • 産科医療補償制度の導入から10年が過ぎました。原因分析および再発防止委員会の活動,提言により新生児の脳性麻痺はどのように変化したのでしょうか。
    川崎医科大学・下屋浩一郎先生にご教示頂きたく存じます。

    【質問者】

    増山 寿 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 産科・婦人科学教授


    【回答】

    【明確なデータはないが,発症件数は減少傾向にあると考えられる】

    周産期医療の進歩により,わが国の周産期死亡率の数値は世界的に最も低いレベルにあります。

    脳性麻痺は「受胎から新生児期(生後4週間以内)までの間に生じた脳の非進行性病変に基づく,永続的なしかし変化しうる運動および姿勢の異常」で「進行性疾患や一過性運動障害または将来正常化すると思われる運動発達遅滞は除外する」と定義されています。脳性麻痺の発生頻度は,2018年10月の「脳性麻痺児の実態把握に関する疫学調査報告書」によると,出生1000に対して1.7と報告されています。

    産科医療の労働環境が過酷であることや,分娩時の医療事故において過失の有無の判断が困難な場合が多いため医事紛争が多いことに加え,2004年の大野病院事件での産婦人科医の逮捕などを機に,周産期医療体制は崩壊の危機に直面しました。こうした課題を解決し,安心して産科医療を受けられる環境整備の一環として,産科医療補償制度の早期創設が求められました。そして,2009年1月1日より公益財団法人日本医療機能評価機構が運営組織となり,医療分野におけるわが国初の無過失補償制度として産科医療補償制度が開始されました。

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