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■NEWS 通所リハの「社会参加支援加算」の見直し求める意見も―介護給付費分科会

No.5023 (2020年08月01日発行) P.69

登録日: 2020-07-21

最終更新日: 2020-07-21

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2021年度介護報酬改定に向けた議論をしている社会保障審議会介護給付費分科会は720日、主に通所系サービスについて意見交換した。このうち通所リハビリテーションでは、一定期間でのリハビリの終了を前提に制度設計されている「社会参加支援加算」や「生活行為向上リハビリテーション実施加算」などの見直しを求める意見が上がった。

厚生労働省が分科会に提出した調査データによると、通所リハ利用者のうち、開始6カ月後の段階でリハを終了していたのがわずか3%程度だったのに対し、終了予定のない利用者は8割を超えていた。通所リハの加算のうち、通所介護や一般介護予防事業などへの移行を前提とした「社会参加支援加算」の算定率は8.4%、リハ開始から6カ月以内の算定制限がある「生活行為向上リハビリテーション実施加算12」は1%未満ときわめて低く、算定困難な理由では、「利用者・家族の通所リハビリの継続希望が強い」(社会参加支援加算)、「利用者・家族に加算期間が6カ月で終了することの理解が得られない」(生活行為向上リハビリテーション実施加算)といった声が目立った。

こうした実情に東 憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は、「生活期のリハビリテーションは、機能の改善に加えて生活機能の維持も重要なアウトカムだ。リハビリの終了、卒業を求めるべきではない」として、「社会参加支援加算」などの見直しを求めた。江澤和彦委員(日本医師会常任理事)も、「介護は日常的にリハビリを行い、生活支援することが基本であり、(通所リハビリを)卒業すると専門職のリハビリを受けられない弊害がある」と問題視。「現時点では『社会参加支援加算』は、自立支援に資するものにはなっていない」と述べた。関連して「短期集中個別リハビリテーション実施加算」にも言及。退院・退所後3カ月以内の算定という縛りがありながら、個別リハビリを140分以上の実施で110単位の報酬設定は「厳しい」とし、引き上げも視野に入れた検討を促した。

■通所系の「生活機能向上連携加算」にもICT利用の報酬設定を

通所介護と短期入所生活介護では、サービスの質向上を図る観点から、18年度改定時に導入された「生活機能向上連携加算」について、訪問系サービスと同様にICTを活用した場合の算定区分を新設するべきとの意見が複数の委員から出た。同加算は、訪問・通所リハ事業所やリハを実施している医療施設の作業療法士・理学療法士・言語聴覚士、医師が事業所を訪問するなどして共同でアセスメントを実施し、機能訓練計画書などを作成した場合に算定する。訪問介護などの訪問系サービスでは、医師、リハ職が直接事業所を訪問して助言した場合と、ICTを活用して助言した場合の2パターンの報酬が設定されているが、通所介護や短期入所生活介護などの通所系サービスでは事業所を訪問した場合にしか算定できない違いがある。

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