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特集:子どもの のど外来─喘鳴を極める

No.5017 (2020年06月20日発行) P.18

守本倫子 (国立成育医療研究センター感覚器・形態外科部耳鼻咽喉科診療部長)

登録日: 2020-06-19

最終更新日: 2020-06-17

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新潟大学医学部卒業。慶應義塾大学耳鼻咽喉科入局。1998年米国Baylor医科大学蝸牛生理学教室リサーチフェロー。1999年国立小児病院耳鼻咽喉科を経て,2002年より現職

1 乳幼児の喘鳴とは?
・気道の狭窄している部位によりstertor(鼻雑音:いびき様低音),stridor(吸気性喘鳴:高音),wheezing(呼気性喘鳴:高音)がみられる。
・咽頭の狭窄ではstertor,喉頭や声門下の狭窄ではstridor,気管や気管支の攣縮などではwheezingとなる。
・狭窄程度が軽度でも感染を起こすと呼吸障害が増悪することがある。

2 診断には
・内視鏡検査や単純X線検査は簡単に行え,診断に有用である。
・鎮静が必要な検査は,上気道閉塞症状が増悪することがあるので注意が必要。
・声門下まできちんと診断が必要な場合は鎮静下または全身麻酔下の検査が行われるが,リスクも伴うため専門病院での評価が必要。

3 最初の治療方法には
・保存的治療では,体位の工夫,酸素投与,非侵襲的陽圧換気法(NPPV)などを行う。
・保存的治療が困難な場合は気管切開が必要。
・気管切開が必要となった場合は,その後も長期的な治療が必要となる。

4 咽頭の狭窄では
・顎顔面低形成による狭窄であれば成長するまでは経鼻エアウェイやNPPVなどが有効。
・手術可能なものもあるが,低年齢では周術期管理に注意。

5 喉頭の狭窄では
・喉頭軟弱症では,体位や栄養の工夫などで成長を待つと改善してくる例が多いが,一部手術適応となる。
・声門下狭窄では程度により気管切開が必要。軽度では感冒に注意しながら経過観察可能。

6 重要ポイント
・上気道閉塞症状がある場合,不用意に鎮静検査を行うべきではない。
・保存的治療により改善しない場合は,気管切開や外科的な治療は1つの選択肢であり,苦しいまま保存的治療を続けるべきではない。
・診断に難渋する場合は耳鼻咽喉科医または小児外科医にすぐに相談すべきである。

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