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滲出性中耳炎[私の治療]

No.5016 (2020年06月13日発行) P.50

任 智美 (兵庫医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科講師)

登録日: 2020-06-12

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  • 滲出性中耳炎とは,「鼓膜に穿孔がなく,中耳腔に貯留液をもたらし難聴の原因となるが,急性炎症症状すなわち耳痛や発熱のない中耳炎」と定義づけされている。乳児期・小児期に多く,主な病因として耳管機能障害と周辺器官の炎症が挙げられている。

    ▶診断のポイント

    鼓膜所見(鼓膜の内陥,癒着,菲薄,肥厚・石灰化,可動性,透過性,滲出液の色調・性状と量の推測,など)の確認,気密性耳鏡による鼓膜の可動性評価,ティンパノメトリーにて診断を行う。純音聴力検査で手術適応の決定,感音難聴の有無の確認を行う。周辺器官である鼻副鼻腔,上咽頭の状態を確認することも重要である。上咽頭においては小児ではアデノイド増殖症,成人では上咽頭腫瘍の有無をチェックする。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    滲出性中耳炎は周辺器官の炎症病変との関連性が高く,鼻炎や副鼻腔炎がある場合は初期治療として鼻処置やネブライザー,マクロライド系抗菌薬の少量長期投与の適応となり,積極的に鼻の治療を行う。カルボシステインは小児滲出性中耳炎の内服薬として副作用が少なく,かつエビデンスがあるため,推奨されている。耳管機能障害に対する保存的治療として,耳管通気療法や自己通気療法(1日3回以上)が挙げられる。十分なエビデンスには乏しいが,癒着予防の観点からも併せて行うことが推奨されている。小児で周辺器官に炎症所見がみられない単独の滲出性中耳炎の場合,内服薬や点鼻薬などの保存的治療の有効性は認められていない。

    外科的治療においては有効性が高いものとして鼓膜換気チューブ留置術,小児では加えてアデノイド切除術が挙げられ,適応については日本耳科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会の「小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2015年版」1)のアルゴリズムを参考にする。原則3カ月以上遷延し,鼓膜の陥凹やアテレクタシスがみられる場合,また,鼓膜の異常所見がみられなくても両側40dB以上の聴力低下がみられる場合には鼓膜換気チューブ留置術が強く推奨される。ダウン症児や口蓋裂を伴う児では難治性が多いため,遷延する場合は積極的に考慮する。アデノイド切除術は侵襲的であるため第一選択にはならないが,周辺器官としての関与は大きいため,上気道病変を考慮して適応を決定する。

    小児の滲出性中耳炎は言語発達に影響し,日常診療において言語発達遅滞を主訴に来院し,滲出性中耳炎が判明する例もみられる。長期的な影響は少ないとされているが,言語発達遅滞や構音障害が疑われる例には,年齢に応じた言語発達検査を施行する。

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