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国民皆保険制度を世界無形文化遺産に [プラタナス]

No.4698 (2014年05月10日発行) P.1

福生吉裕 (一般財団法人博慈会老人病研究所所長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-04-05

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  • 昨年の暮れ、嬉しいことがあった。“和食”が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界無形文化遺産に登録されたことだ。これは、日本人としての自信と誇りにも大いに繫がった。

    さて、日本人の誇りと言えば国民皆保険制度がある。これこそ世界無形文化遺産として登録されてもいいのではないだろうか。その理由は2点ある。1点は、国民皆保険制度は1961年に日本が世界に先駆けて成し遂げた快挙であり、国民の安心と健康増進に深く寄与している。これはもう文化であり、後世にまで続けてもらいたいからである。もう1点は、どうやらイエローカードがちらつき始め、崩壊寸前と言う識者も出てきたからである。

    2015年の総医療費は42兆円となり、2025年には52兆円を優に超えるという推計がある。国民皆保険制度を“健康を守る城”と見なせば、少子高齢化、高額医療費、TPPなどは“黒船の到来”と言える。さらに、皆保険制度を支える健保組合は、その8割以上が赤字である。このままでは空洞化で立ち行かなくなるのは自明の理と言える。そこで、早めに世界無形文化遺産に登録するのはいかがであろうか。

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