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【識者の眼】「新しい日本循環器学会ガイドラインで循環器疾患の勉強を」小田倉弘典

小田倉弘典 (土橋内科医院院長)

登録日: 2020-05-15

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日本循環器学会は、延期になった3月の第84回学術集会で発表予定だった新しい診療ガイドラインを、同学会のウェブサイトで3月13日に公開した(http://www.j-circ.or.jp/guideline/)。公開されたのは、「冠動脈疾患患者における抗血栓療法(フォーカスアップデート版)」「弁膜症治療」「川崎病心臓血管後遺症の診断と治療」「心アミロイドーシス」「不整脈薬物治療」の5つである。「大動脈瘤・大動脈解離診療」も近日公開予定である。

これらは、ウェブでのアクセスはフリーであり誰でも閲覧できる。また今回は一部を除いて班長による動画の解説が付いており、ユーザーフレンドリーな形式となっている。

全体的な傾向として、①多くの日本人のエビデンスを採用、②新しい疾患概念や治療戦略の提示、③包括的管理(予防から治療までの一貫性や多職種によるチーム医療)─といったポイントが挙げられる。強調しておきたいのは、今回プライマリ・ケア医にとっても知っておくべき内容が豊富であるということである。以下に分野別にそのポイントを述べてみたい。

冠動脈疾患患者における抗血栓療法では、心房細動合併症例の1年後の抗血栓薬に関し、日本発のAFIIRE試験を受けて抗凝固薬単剤でよいとされた。また周術期に抗凝固薬を中止しヘパリンブリッジを行うことは推奨度クラスⅢ(No benefit)となった。

弁膜症治療では、慢性心房細動に起因する僧帽弁閉鎖不全症が「心房性機能性MR」という概念で明確化された。経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)か外科的大動脈弁置換術(SAVR)かについては患者背景や手技に関する因子をチームで決定することが重要であるとし、大まかな目安としては、80歳以上TAVI、75歳未満SAVRとされている。

川崎病においては、学校、思春期若年成人期、成人期のライフステージごとの管理について解説されている。

心アミロイドーシスでは、トランスサイレチン型心アミロイドーシスの概念と診断治療の急速な進歩が強調されている。

不整脈薬物治療では、非弁膜症性心房細動においてCHADS2スコア1点以上ですべてのDOACが「推奨」となった。またワルファリンの目標INR値は年齢によらず1.6〜2.6となった。

このように、循環器疾患においても数年前に比べて疾患概念の変化とそれに伴う診断治療の進歩は、驚くべきスピード感がある。今回の改訂は専門医のみならずプライマリ・ケアにおいても知識のupdateの良い機会になると思われる。

小田倉弘典(土橋内科医院院長)[循環器][診療ガイドライン]

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