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【識者の眼】「かかりつけ医を持たない高齢者が動けない時」馬見塚統子

No.5014 (2020年05月30日発行) P.58

馬見塚統子 (社会医療法人財団大和会 東大和市高齢者ほっと支援センターなんがい管理者・社会福祉士)

登録日: 2020-05-14

最終更新日: 2020-05-14

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私は高齢者の地域包括支援センターに勤務している。高齢者の方から家の中で動けなくなったので助けて欲しいという相談電話が時々ある。動けない要因としては、これまで大きな持病はなかったが、廃用症候群や骨粗鬆症による腰椎や、膝や股関節痛の悪化、低栄養、衰弱など。まずは状態を把握するため自宅へ訪問し受診の支援や介護環境を整えるための制度活用を支援する。

急に動けなくなってトイレにも行けなくなる背景には整形疾患的な原因が多いが、救急搬送要請をしても手術の必要性がなければ入院の適応はなく、自宅療養で工夫するしかない。介護保険を利用するためには主治医とのやりとりが欠かせないが、主治医になってくれる医師へたどりつくのが難しい。街の整形外科クリニックは患者であふれていて、すぐ診てもらうわけにもいかない。動けなくなっている高齢者をクリニックまでどうやって連れていけばいいか? 外来で何時間も待てるか?

急性期治療の適応がなかった場合、低下している体調やADLをもち直す次の手として老人保健施設で短期間のリハビリ入所や、今やあらゆる病院に備えられた「地域包括ケア病床」を活用したい際の入所・入院依頼には「診療情報提供書」が必要になる。入所判定に必要なため、用意できなかったらせっかくの社会資源が活用できない。介護申請に続き、訪問看護や訪問リハビリの手配、軽度者の介護ベッドや車いすの利用なども主治医の書類や意見が必要。内科にかかっていた場合でも相談できるのは内科の範疇であり、動けなくなっている原因が他にある場合は難しい。

地域の先生たちが今目の前で動けずに生活が立ち行かなくなっている高齢者の状況をスピーディーに私たちと一緒に考えて、必要最低限の最初の一手を支援して頂いたり、他科や他院と連携する道筋をたてて頂けると大変心強い。地域の先生と地域包括支援センターの連携が強化されれば高齢者の救急搬送も削減できる。今回の新型コロナの蔓延期に、相談できる医師を持たない高齢者が具合が悪くなった際にどうすべきか?打つ手を思いつけない。

馬見塚統子(社会医療法人財団大和会 東大和市高齢者ほっと支援センターなんがい管理者・社会福祉士)[地域包括ケア]

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