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【識者の眼】「新型コロナウイルスが存在する中での小・中学校再開に向けての3つの提言」和田耕治

No.5012 (2020年05月16日発行) P.60

和田耕治 (国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)

登録日: 2020-05-07

最終更新日: 2020-05-07

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緊急事態宣言の下で小・中学校の全国的な休校が行われている。今後は、徐々に再開が目指されている。本稿では、新型コロナウイルスが存在する中での小・中学校の運営について3つの提言をしておきたい。

1. 都道府県により生活圏での流行状況を見える化する

小・中学校の再開にあたっては、過去2週間程度の生活圏における感染拡大の状況を確認することになる。しかしながら、本来は都道府県において地域ごとの過去2週間、過去1週間といった期間の感染者数を示していれば市町村の教育委員会なども参考にして判断できるが、まだまだこうしたデータを示している都道府県は少ない。今年の1月頃からの累積のデータを示していることもあるが、これでは判断ができない。都道府県では患者の居住地などのデータを持っているので、そうしたデータを参考に作成できる。もちろん、個人情報には留意し、かつ、その地域が差別偏見の対象にならないようにしなければならない。

2. 感染者が出た場合の手順や休校の目安を示す

感染者が出た場合にどうするかの学校の手順が必要である。教員は自分自身の体調管理に特に留意して、発熱または感冒症状、下痢などの症状があれば休めるように、他の教員との連携が必要である。また、生徒においても体調不良者が増えた場合、教室内で1名が診断された場合、さらに複数診断された場合などにどうするかなども決めておく必要がある。

地域での流行として高齢者施設や医療機関での感染があった場合には感染経路がわかっているが、その場合にその地域の学校をどうするかなどの判断も求められるであろう。また、同居の親が濃厚接触者などの場合の子供の対応なども決めなければならない。

3. 冬場を考慮してオンライン授業の充実を

これまでも、インフルエンザによる学級閉鎖は早ければ9月ぐらいからあった。冬場に向けて発熱やかぜ症状のある者は増える傾向がある。そこに新型コロナがあると現場は難しい判断が求められる。こういう状況を想定すると冬場の登校はかなり厳しくなる可能性を想定する必要がある。今後も年単位で続く可能性があることからオンライン授業の充実ならびに、生徒のテストなどの評価についても検討を求められている。

おわりに、小・中学校の再開については、賛成も反対も含めて議論がある。しかしながら、できる対策も多い。今後、子供の感染者が全く出ないということはないであろう。そのため、各学校が感染対策を充実させつつ、もし子供達の重症化リスクに関するエビデンスが得られたり、地域での流行拡大があれば休校にするという判断を含めてできるようにする必要がある。学校医や関わりのある医療関係者はそうした判断への支援を行う必要がある。

和田耕治(国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授)[新型コロナウイルス感染症]

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