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NAFLDの運動療法のポイントは?

No.5006 (2020年04月04日発行) P.52

鈴木康秋 (名寄市立総合病院消化器内科/副院長)

川口 巧 (久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門講師)

登録日: 2020-04-01

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  • 運動療法には有酸素運動やレジスタンス運動がありますが,非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)患者の運動療法指導におけるポイントを教えて下さい。
    久留米大学・川口 巧先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    鈴木康秋 名寄市立総合病院消化器内科/副院長


    【回答】

    【レジスタンス運動と有酸素運動を組み合わせた運動が有効である】

    身体活動の低下はNAFLDの原因であり,運動療法はNAFLDの重要な治療です1)。いまだ,NAFLDに有用な運動指導法や運動プログラムは明らかではありませんが,以下に,私が留意している点について記載します。

    (1)身体活動量の低下と発がんの関係について 説明

    NAFLDは肝癌だけでなく,大腸癌,膵癌,乳癌などの危険因子です2)。また,身体活動量が低い人はこれらのがんの発症率が高いことも明らかとなっています3)4)。このように,身体活動量の低下は,NAFLDの発症に関わるだけでなく,発がんにも関与することを患者に説明し,身体活動や運動に対して意識を向けることを心掛けています。

    (2)具体的な身体活動量を設定し,毎日記録する

    歩数は,日常生活において身体活動量を評価する有用な指標です。厚生労働省によって定められた健康日本21では,20~64歳は男性9000歩/日,女性8500歩/日,65歳以上では男性7000歩/日,女性6000歩/日が目標値として示されています。ただし,身体能力は個人によって大きく異なるため,各人に応じて具体的な運動目標を設定する必要があると思います(例:+1000歩/日で徐々に目標値に近づける)。また,歩数を毎日手帳などに記載するよう指示し,診察時に医師が確認することも重要なことと考えています。

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