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医療機関検索サイトと予約システムの併用で高い初診率を実現[クリニックアップグレード計画 〈システム編〉(17)]

No.5002 (2020年03月07日発行) P.14

登録日: 2020-03-06

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患者が医療機関を受診する前に、インターネットを活用して情報を入手するケースが一般的になっている。競争の激しい都市部のクリニックでは新規患者の獲得が重要な課題となっており、民間の患者向け医療機関検索サイトに自院の詳細情報を掲載する施設も増えている。シリーズ第17回は、医療機関検索サイトと受付予約機能が一体となった予約システムをセットで活用し、新規集患と患者の利便性向上につなげているクリニックの取り組みを紹介する。

 

厚生労働省が毎年実施している受療行動調査によれば、7割以上の患者が普段医療機関を受診する前に何らかの情報を入手していることが分かっている(2017年調査)。情報の入手先(表)で最も多かったのは家族や友人・知人からの口コミ、次いでインターネット経由となっている。この場合のインターネットとは、自院のWebサイトだけではなくクリニックガイドのような医療機関検索サイトも含まれる。

また日医総研が3年ごとに実施する「日本の医療に関する意識調査」では、患者が「受けた医療」に対し最も不満を感じるのは「待ち時間」であることが分かっている。こうした患者ニーズに応えるため、東京・港区にある「みなと芝クリニック」では、医療機関検索サイトと予約受付機能が一体化したオンラインの診療予約システムを導入している。

都心にある“村の診療所”を目指す

同院の川本徹院長は筑波大を卒業後、茨城県内の関連病院を中心に外科専門医として勤務。地方の総合病院は医師不足が深刻で、内科や整形外科、皮膚科、小児科など専門外の患者を診療する機会も多かったという。その後大学に戻ったが、これまで習得したプライマリケアの知識や技術を生かし、“総合医”としてより多くの患者の診療に携わりたいとの思いが強まり、2010年に港区三田で開業した。

「患者さんからすると、病気ごとに違うクリニックを受診するのはとても面倒です。都心では専門性をコンセプトに打ち出しているクリニックが多いので、何でも相談できる村の診療所のような身近なクリニックも必要だと考えて開業しました。患者さんからの情報を見落とすことなく収集し、全身状態をしっかり把握する、いわば『木を診て、森を診る』医療を心がけています」(川本院長)

待ち時間短縮で初診患者にじっくり対応

こうした患者目線に立った丁寧な診療の評判が口コミで広がり手狭になったことから、より多くの患者を受け入れるため4年後には現在地(港区芝)に移転。患者の待ち時間を短縮し、初診や重症度の高い患者に対する診療をじっくり行う体制を整えるため、2016年に診療予約受付システムを導入した。

同院が導入しているのは、(株)EPARKメディカルが提供する医療機関検索サイト「EPARKクリニック・病院」(https://fdoc.jp/)および診療予約システム「EPARK Doctor」。EPARKは飲食店や美容室など人気施設の待ち時間を解消するための順番待ち、予約システムのリーディングカンパニーで、EPARK Doctorは2500施設に導入実績がある。

図1はEPARK Doctorが搭載する各機能の画面(イメージ)。クラウド型サービスで導入がしやすく、医療機関・患者双方にとって使いやすいシンプルなデザインと操作方法が特徴だ。

予約受付機能は「順番予約」と「時間指定予約」が可能で、予約が完了すると患者に予約確認メールが送信される。リマインドメールや診察の順番が近づいた場合の通知メール、登録した患者に対するインフルエンザワクチン予約開始の案内メールなど、設定次第でいろいろな使い方ができる。搭載されている機能を活用することで、待ち時間の短縮につながり、待合室でのウイルスの飛散や院内感染の予防にも効果を発揮するなど、患者の満足度向上につながる。

EPARK Doctorを導入した理由について川本院長はこう語る。

「“都会にある村の診療所”を目指しているので完全予約制にするつもりはなく、外傷や胸痛、腹痛などサブエマージェンシーの患者さんへの柔軟な対応が可能な予約システムだったことが導入の決め手になりました。現在の運用は時間帯予約という幅を持った形で1時間に2人まで予約を受け付け、予約をしていない方であっても困ったらいつでも駆け込んでもらえるようにしています」

新患の半分がEPARKクリニック・病院から

EPARK Doctorの特徴は予約受付機能に加え、医療機関検索サイト「EPARKクリニック・病院」も活用することで新規集患が期待できる点にある。EPARK全体の登録会員は約2900万人、EPARKクリニック・病院単体のPVで月間960万を超えるなど多くのユーザーを抱える。さらに11の他社の医療系メディア・アプリと提携しており、多様な流入経路を確保、広告宣伝効果は大きい。

EPARKクリニック・病院の施設詳細ページ(図2)には、自院の基本情報や専門分野、診療スタイルの特徴、口コミ情報などを掲載。ページ上で予約状況の確認ができるため、「ネット予約」ボタンや電話番号から、枠が空いていればすぐに予約可能なシステムになっている。

「集患効果はとても大きいと感じています。平均すると新規の患者さんは1日20人程度で全体の約2割、そのうち約半分がEPARKクリニック・病院経由です。開業当初は地元住民の方が多かったのですが、総合的な診療が受けられることと時間帯予約なので所要時間が読めるということから、周辺のオフィスビルに勤める現役世代の患者さんが増えています。予約システムを活用し、患者さんの受診時間帯をある程度分散することで、患者さん一人ひとりに向き合うことができるようになったと感じています」(川本院長)

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