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【識者の眼】「海外の医療情報収集のツールを紹介します」勝田吉彰

No.4998 (2020年02月08日発行) P.57

勝田吉彰 (関西福祉大学社会福祉学研究科教授)

登録日: 2020-02-05

最終更新日: 2020-02-04

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139万人と263万人。それぞれ、滋賀県と京都府の人口におおむね近似した人数ですが、何の数字か想像つくでしょうか。実は、海外に住む日本人(海外在留邦人)と日本に住む外国人(在日外国人)の数です。そして両者ともに年々増加傾向にあるのがグローバリゼーションの現実です。こうした、国境を越えて移動する人々が直面する問題とその支援は多岐にわたります。今、世界の関心を集めている新型コロナウイルスなどの感染症&メンタルヘルスはもとより、昆虫刺傷・トラベルワクチン(予防接種)・医療制度・情報収集法・リスクコミュニケーションなどなど。分野としては渡航医学・多文化間精神医学・産業医学にわたって連載していきたいと思います。

私は外務省で医務官として12年間、海外医療に携わるなかで、スーダン・フランス・セネガル・中国(北京)の日本大使館に在勤しつつ、それらの周辺国や会議等の公務出張を加えて合計24か国での勤務を経験してきました。退官後は海外在留邦人や外国人労働者をテーマに、ミャンマーなどで定点調査を行っています。そんななかで経験したものから時事ネタまで皆さまと共有していければ幸いです。

さて、この項に目をとめていただいた皆さまには、いま目の前に、海外に赴任する人がいて(今後の連載を待つ時間もなく)何かしなければならないという切羽詰まった先生もおられるかと思います。今回は、情報を得るツールを紹介します。

1.外務省「世界の医療事情」(外務省医務官情報)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/index.html

全世界に100人以上が散らばる外務省医務官。大使館や総領事館を拠点に、現地で集めたリアル情報が得られるサイトです。各国ごとに、環境・注意すべき疾患・その国に渡航するにあたり必要な予防接種・日本人が受診できるレベルの医療機関が網羅されています。

2.厚生労働省 検疫所「FORTH」

https://www.forth.go.jp/index.html

各国ごとの環境・疾患・渡航するにあたり必要な予防接種・医療事情・帰国後の注意点のほか、渡航医学的に話題となっている疾患が検索できるほか、ワクチンの特集頁などが有用です。

3.米国CDCのTraveler’s Health

https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/list/

Destinationをクリックし、目的国を選択します。たとえば、Japanをクリックすると風疹など注意喚起も掲載されています。

4.英国NHSのfit for Travel

https://www.fitfortravel.nhs.uk/home

Destinationをクリックし、目的国を選択します。特に、地域ごとに色分けされたマラリア地図が日本のサイトにはなく秀逸です。

勝田吉彰(関西福祉大学社会福祉学研究科教授)[渡航医学][国境を越える処方箋]

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