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先天性小耳症・外耳道閉鎖症[私の治療]

No.4996 (2020年01月25日発行) P.50

加我君孝 (国立病院機構東京医療センター臨床研究センター感覚器センター名誉センター長/東京大学名誉教授)

登録日: 2020-01-22

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  • 先天性小耳症・外耳道閉鎖症は,片側性と両側性がある。片側性では補聴器を使用する必要がないことが多いが,両側性では言語発達の促進のために1歳前より骨導補聴器を用いる。一方,手術の耳介形成,外耳道形成は9歳頃から始める。筆者は形成外科との合同手術を行っている。

    ▶診断のポイント

    初診で小耳症の形状の重症度を軽・中・重度にわける。

    外耳道閉鎖は骨性の閉鎖の場合と軟骨組織による閉鎖の場合があり,側頭骨CTで診断する。

    中耳は,ツチ骨とキヌタ骨の融合の有無および,アブミ骨の有無は側頭骨CTで診断する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    先天性小耳症・外耳道閉鎖症に対して,筆者は獨協医科大学形成外科の朝戸裕貴教授との合同手術を双方が東大病院に在職中から始め,約25年間の症例数は片側約200例,両側約50例に上る。helical CTで側頭骨を三次元に構築することができるようになりお互いに手術前の議論を可能とした。乳突部に耳介と外耳道を新たにつくることになる。2002年までは鼠径部の皮膚を採皮し皮膚管を作製したが,術後の感染を伴うことがありそのコントロールに苦労することがあった。この術式は皮膚の全層を用いるため外耳道がhairyになるのが欠点で,外耳道内に感染を起こしやすかった。現在は頭皮の分層植皮と血流の良いparieto temporal fascia(PTF)を用いることでこのようなトラブルは消失し,美しい外耳道をつくることができる。術後治療も重要で,外耳道の大きさを維持するために3〜6カ月の間シリコンチューブを用いている。

    以下に,この手術の秘訣と治療の実際を述べる。

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