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性別適合手術が保険適用になった後の現状について

No.4990 (2019年12月14日発行) P.61

三原 誠 (JR東京総合病院リンパ外科・再建外科)

原 尚子 (JR東京総合病院リンパ外科・再建外科医長)

百澤 明 (山梨大学医学部附属病院形成外科教授)

登録日: 2019-12-16

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  • 2018年,性同一性障害(gender identity dis- order:GID)に対する性別適合手術が保険適用になりました。現状では実際に保険適用で手術を受けた患者はまだ少ない状況ですが,貴院でのGID診療や他施設との連携において,苦労している点,工夫している点につき,お聞かせ下さい。山梨大学・百澤 明先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    三原 誠 JR東京総合病院リンパ外科・再建外科

    原 尚子 JR東京総合病院リンパ外科・再建外科医長

    【性同一性障害の外科治療に対する公的保険適用はホルモン治療未実施例のみ】

    2018年4月の診療報酬改定に伴い,性同一性障害の外科治療に対する公的保険適用が開始されました。しかし,厚生労働省から「ホルモン製剤の投与を一連の治療において実施する場合は混合診療となる」という通達があり,ホルモン治療歴が一度もない症例に対してのみ保険適用の手術が可能という状況となっています。わが国には保険診療上「性同一性障害」という疾患に対して投与が認められたホルモン製剤がないため,ホルモン治療を既に実施している患者は混合診療に当たり,当該疾患(性同一性障害)に対するいかなる治療行為も保険適用外であるというわけです。

    (1)判定委員会での承認

    日本精神神経学会策定の「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」に準拠した治療が求められます。手術適応判定委員会とは,精神科医,泌尿器科医,産婦人科医,形成外科医,法律家などによって編成される医療チームのことです。当院には判定委員会がないので,埼玉医科大学ジェンダー委員会,神奈川ジェンダー委員会,浦安ジェンダー委員会,北陸GIDネットワーク,関西GIC(gender identity clinic)ネットワークなどの外部委員会で診断と手術適応が承認された患者を受け入れています。

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