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C型慢性肝炎治療の変遷①

No.4988 (2019年11月30日発行) P.50

岡崎和一 (関西医科大学内科学第三講座教授)

登録日: 2019-11-27

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【SVR率の高い薬剤が続々と使用可能になっている】

C型肝炎治療の目標は,「C型肝炎ウイルス(HC V)持続感染によって惹起される慢性肝疾患の長期予後の改善,すなわち,肝発癌ならびに肝疾患関連死を抑止することにある」(日本肝臓学会,編「C型肝炎治療ガイドライン(第6.2版)」より)。この目標を達成するため,わが国ではゲノタイプ1型に対し,従来のインターフェロン(IFN)治療法に代わり,2014年にIFNを使用しない(IFNフリ-)直接型抗ウイルス薬(DAA)が臨床導入された。

最初のDAAであるNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬(アスナプレビル)+NS5A複製複合体阻害薬(ダクラタスビル)併用ではウイルス学的著効(SVR)率は80~90%にとどまっていた。その後,15年には第2世代IFNフリーDAAであるNS5Bポリメラーゼ阻害薬(ソホスブビル)/NS5A複製複合体阻害薬(レジパスビル)配合錠の併用(国内試験のSVR率99%),プロテアーゼ阻害薬(パリタプレビル)/NS5A複製複合体阻害薬(オムビタスビル),および抗ウイルス効果はないもののパリタプレビルのブースト効果(半減期延長+血中濃度上昇)が期待できるリトナビル配合錠併用(国内試験のSVR率95%以上)が使用可能となった。

16年には,プロテアーゼ阻害薬(グラゾプレビル)+NS5A複製複合体阻害薬(エルバスビル)併用(国内試験のSVR率95%以上),さらにダクラタスビル/アスナプレビル/非核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害薬(ベクラブビル)3剤の配合錠(国内試験のSVR率95%以上)の登場により,ゲノタイプ1型C型肝炎患者の95%以上がほぼ完治できるようになった。

【解説】

岡崎和一 関西医科大学内科学第三講座教授

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