株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

頭頸部癌再発転移症例に対するニボルマブの位置づけ

No.4984 (2019年11月02日発行) P.48

野田大介 (山形大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科講師)

登録日: 2019-11-01

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【推奨度グレードBであるが,免疫チェックポイント阻害薬に起因する免疫関連有害事象に注意が必要】

ニボルマブは世界初のヒトPD-1(programmed cell death-1)に対するヒト型IgG4モノクローナル抗体で,免疫チェックポイント阻害薬である。PD-1とPD-1リガンドとの結合を阻害することにより,がん抗原特異的なT細胞の活性化および,がん細胞に対する細胞傷害活性を増強することで持続的な抗腫瘍効果を示すことが確認されている。頭頸部癌再発転移症例に対してはCheckMate- 141試験1)でその有効性が示され,2017年3月に効能・効果追加が承認された。

ニボルマブは,「頭頸部癌診療ガイドライン2018年版」では,頭頸部癌再発転移症例に対して推奨度グレードBであるが,CDDP使用症例のみ適応があるので,注意が必要である。

17年3~12月に6症例に投与した。導入時の年齢は,58.5歳(中央値),治療効果はPR1例,SD1例,PD4例であった。有害事象は特に問題となるものはなかったが,免疫チェックポイント阻害薬に起因する免疫関連有害事象(irAE)があり,従来の抗癌剤とはまったく違うものであるため,注意が必要である。当科では,ニボルマブ投与症例は院内cancer treatment board(CTB)に諮って適応の可否を判断し,内分泌内科の先生とともに有害事象,特にirAEについて注意深く経過をみていくことにしている。

【文献】

1) Ferris RL, et al:N Engl J Med. 2016;375(19): 1856-67.

【解説】

野田大介 山形大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科講師

関連記事・論文

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top