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頭頸部癌再発転移症例におけるパクリタキセル+セツキシマブの効果と注意点

No.4978 (2019年09月21日発行) P.52

千田邦明 (山形大学耳鼻咽喉・頭頸部外科)

登録日: 2019-09-22

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【有効性が報告されているが,黄斑浮腫への注意が必要】

頭頸部癌再発転移症例に対する化学療法は目覚ましい進歩を遂げている。『頭頸部癌診療ガイドライン2018年版』では,CDDP+5-FU+セツキシマブ(Cmab)および,抗PD-1抗体であるニボルマブが推奨グレードBである。しかし,ニボルマブもCDDP使用歴がある症例のみの適応であり,プラチナ製剤不適例に対するレジメンとしては,パクリタキセル+セツキシマブ(PTX-Cmab)の有効性が報告1)され,注目されている。

2014年12月~17年6月の間に9例を経験した。導入時の年齢は中央値60歳,男性8例・女性1例。施行回数は2~93回(中央値9回),PR 4例,SD 1例,PD 4例であり,奏効率は44.4%であった。有害事象は皮膚障害4例,倦怠感3例,黄斑浮腫3例,低Mg血症2例,神経障害2例,好中球減少症2例,便秘・口内炎・infusion reaction(IF)がそれぞれ1例であった。黄斑浮腫はすべてgrade 3であり,今まで報告はない。

本検討における黄斑浮腫症例は投与回数が多い3例で生じており,PTXによる黄斑の初期変化は無症候性のうちから始まっているとの報告2)もあり,PTX-Cmab使用時には注意が必要であると考えられる。

【文献】

1) Hitt R, et al:Ann Oncol. 2012;23(4):1016-22.

2) Chelala E, et al:Chemotherapy. 2017;62(3): 199-204.

【解説】

千田邦明 山形大学耳鼻咽喉・頭頸部外科

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