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耳鼻咽喉科領域の組織中におけるD-アミノ酸と加齢の関連

No.4974 (2019年08月24日発行) P.55

鈴木祐輔 (山形大学耳鼻咽喉・頭頸部外科)

登録日: 2019-08-26

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【加齢や慢性炎症のバイオマーカーとなる可能性】

我々の生体はL体のアミノ酸のみを選択的に利用しており,その光学異性体であるD体のアミノ酸は,生命の起源と進化の過程で排除されてきたと考えられてきた。しかし近年,D体のアミノ酸が生体内に多量に存在し,様々な生理的機能を担っていることが明らかとなり注目を浴びている。

量的に主なD-アミノ酸であるD-アスパラギン酸(D-Asp)では,高齢者の水晶体中のD-Asp残基を含むクリスタリンが増加し白内障の原因になること1),高齢者の露出部皮膚に多く発現すること2),アルツハイマー病におけるβ蛋白質中にD-Aspが認められること3),などが報告されており,老化や加齢と関連があると考えられている。

口蓋扁桃におけるD-Asp発現は年齢と相関関係を認め,高齢者のリンパ濾胞や間質組織,管腔内に強く発現していた。中耳真珠腫におけるD-Aspは年齢によって発現パターンが異なり,若年者では主に角質層(debris),高齢者では間質内(上皮下)に多くD-Aspの発現を認めた。好酸球性副鼻腔炎の鼻ポリープにおいては,繊毛上皮,間質内の炎症細胞,腺組織にD-Asp発現を認めた。非好酸球性副鼻腔炎における発現パターンとの間に大きな差異は認めなかった。好酸球性副鼻腔炎の再発症例において,D-Asp発現が増加する傾向を認めた。

今後はD-Aspの生理的機能や定量的な解析をする必要があると考えられる。

【文献】

1) Fujii N, et al:J Biochem. 1994;116(3):663-9.

2) Fujii N, et al:Biochem Biophys Res Commun. 2002;294(5):1047-51.

3) Tomiyama T, et al:J Biol Chem. 1994;269(14): 10205-8.

【解説】

鈴木祐輔 山形大学耳鼻咽喉・頭頸部外科

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