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関節リウマチ(RA)における医療連携を用いた生物学的製剤(Bio)の使用について

No.4969 (2019年07月20日発行) P.54

伊藤 聡 (新潟県立リウマチセンター副院長)

登録日: 2019-07-17

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【総医療費を抑えられるという報告もあり,さらに重要性を増す】

関節リウマチ(RA)ではメトトレキサート(MTX)と生物学的製剤(Bio)が導入され,疾患活動性が改善した。しかし,高齢患者では腎機能低下や呼吸器疾患の合併症でMTXを使用できないことが多く,MTXやステロイドを減量・中止してのBioの使用が行われている。

我々は,高齢者や手指の変形が進行した人では,医療連携を利用したBioの使用を行ってきた1)2)。まず半減期が短く,感染症発症時中止により比較的安全と考えられたエタネルセプトを使用したが3),アバタセプト,ゴリムマブ(GLM)の連携も確立した2)。GLMは処方をしてクリニックでの注射が不可能で,院内使用薬剤費の増加を防ぐためクリニックへの連携依頼はなるべく1人とした2)。2018年にGLMの自己注射が認められたが,寛解を得た患者は,高齢でも自己注射に移行可能であった。18年に当院でGLMを使用したのは133例であったが,34例が自己注射に移行し,6例は連携からの移行であった。GLMも当院で処方後の連携での注射,連携からの自己注射への移行により,多くの患者で使用が可能である。

Bioを継続したほうが総医療費は抑えられるという報告もあり4),連携によるBioの使用はさらに重要性を増すだろう。

【文献】

1) 伊藤 聡:実験治療.2013;710:63-6.

2) 伊藤 聡, 他:臨リウマチ. 2017;29(2):85-97.

3) Kodama S, et al:Clin Rheumatol Rel Res. 2017;29:230-50.

4) Sruamsiri R, et al:Drugs Real World Outcomes. 2018;5(3):169-79.

【解説】

伊藤 聡 新潟県立リウマチセンター副院長

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