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リウマチ・膠原病患者の妊娠・出産に関するリウマチ医,産科医の医療連携について

No.4963 (2019年06月08日発行) P.47

伊藤 聡 (新潟県立リウマチセンター副院長)

登録日: 2019-06-10

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【全国での展開が望まれる】

関節リウマチ(RA)はかつて難治性疾患であり,発症後の妊娠,出産の可能性が低かったが,メトトレキサート(MTX)と生物学的製剤(Bio)が導入され,寛解の導入と維持が可能となった。MTXは催奇形性があり,妊娠希望時に,まずMTXで寛解を導入し,その後中止して妊娠計画が広く行われているが,明確な指針はない。女性の結婚,出産年齢は上昇しており,RA発症後寛解導入までに妊娠可能年齢を超える場合も多い。

2018年,妊娠時は禁忌であったタクロリムス,シクロスポリン,アザチオプリンが使用可能になった。Bioではエタネルセプト,セルトリズマブ ペゴルが推奨されている1)2)。筆者らも両剤の出産例を報告した3)4)。しかし,妊娠計画時のリウマチ医と産科医の連携は確立されていない。富山大学附属病院では,内科医と産科医の検討会が開始され,大阪南医療センターではリウマチ医,看護師と患者が参加しての相談の場を設けている。当院でも,新潟県立新発田病院の産科医,開業の産科医,リウマチ医による講演会を開催し,妊娠希望患者のコンサルテーションシステムを構築した。今後,全国での展開が望まれる。

【文献】

1)「関節リウマチ(RA)や炎症性腸疾患(IBD)罹患女性患者の妊娠,出産を考えた治療指針の作成」研究班:全身性エリテマトーデス(SLE), 関節リウマチ(RA), 若年性特発性関節炎(JIA)や炎症性腸疾患(IBD)罹患女性患者の妊娠, 出産を考えた治療指針. 2018.

2) Götestam Skorpen C, et al:Ann Rheum Dis. 2016;75(5):795-810.

3) Umeda N, et al:Intern Med. 2010;49(2):187-9.

4) Ito S, et al:Clin Rheumatol Rel Res. 2018;30 (2):107-13.

【解説】

伊藤 聡 新潟県立リウマチセンター副院長

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