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■NEWS CAR-T細胞療法「キムリア」の保険適用を決定、患者1人当たり3349万円

No.4961 (2019年05月25日発行) P.65

登録日: 2019-05-16

最終更新日: 2019-05-16

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中央社会保険医療協議会(田辺国昭会長)は15日の総会で、ノバルティスファーマの腫瘍特異的T細胞輸注療法(CAR-T細胞療法)に用いる再生医療等製品「キムリア」(一般名:チサゲンレクルユーセル)の保険適用を了承した。22日付で薬価基準に収載される。注目されていた薬価は、患者1人当たり3349万3407円となった。

CAR-T細胞療法は、ノバルティス社が開発したがん免疫細胞療法。患者末梢血由来のT細胞の遺伝子を改変して体内へ戻すことで、B細胞性腫瘍を特異的に攻撃し、腫瘍細胞の死滅を目指す。投与にかかる各手順には既存の技術料を準用する(末梢血採取1万7440点、投与3万850点)。

キムリアの適応は、再発または難治性かつCD19陽性の「B細胞性急性リンパ芽球性白血病」と「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」。国内での市場規模はピーク時で年間72億円(患者数216人)と見込まれている。

■薬価基準収載品の単価として過去最高

キムリアの薬価は、製品総原価に営業利益や流通経費を積み上げる「原価計算方式」で算出された。算定薬価は米国(約4800万〜6300万円)や英・独(約4100万円)の価格を大きく下回ったものの、日本の薬価基準収載品の単価としては過去最高。中医協の判断により、4月から制度化された費用対効果評価の対象となった。

キムリアによる治療に当たっては、施設・医師・患者の要件を定めた「最適使用推進ガイドライン」の順守が求められる。厚労省によると、キムリアによる治療を提供しうる施設は全国で170施設程度あるという。ただし、ノバルティスファーマは4月19日に開いたセミナーで、発売当初の治療提供施設を数施設に絞る考えを示している。

支払側委員からは、原価の内訳の開示が不十分である点に懸念が示され、従来の医薬品とは異なる価格算定ルールの検討を求める声が上がった

 

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