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腎疾患の薬物治療法開発の現状は?

No.4952 (2019年03月23日発行) P.54

石原寿光 (日本大学医学部内科学系 糖尿病代謝内科学分野教授)

和田 淳 (岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科学教授)

登録日: 2019-03-23

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  • 糖尿病腎症に限定しなくてもよいのですが,腎疾患の治療がなかなか難しい状況が続いているように思います。腎疾患の薬物治療法の開発の現状がどのようになっているか,岡山大学・和田 淳先生にお聞きしたいと思います。

    【質問者】

    石原寿光 日本大学医学部内科学系 糖尿病代謝内科学分野教授


    【回答】

    【CKD進行の共通の分子メカニズムをターゲットとした薬物治療法の開発に期待】

    確かに糖尿病腎症や慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)に適応のある薬剤はありません。自己免疫が関与する疾患では免疫抑制療法を行いますが,それ以外では高血圧症,糖尿病,脂質異常症の薬物治療を行うことが治療の主体となっています。

    CKDの進行を抑制するためには,共通の分子メカニズムをターゲットとした薬物療法の開発が期待されます。CKDのエンドポイントは末期腎不全(透析導入あるいは腎移植)ですが,長期間にわたる観察期間と,大規模な患者のエントリーを必要とするため「血清クレアチニンの2倍化」が代替エンドポイントとして用いられてきました。しかし,それでもエンドポイントに達する患者が少なく,臨床研究や治験の障壁になっています。日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development:AMED)医薬品等規制調和・評価研究事業「腎領域における慢性疾患に関する臨床評価ガイドラインの策定に関する研究班」が,エンドポイント発生率の低い早期のCKDであれば2~3年間での30~40%のeGFRの低下が日本人においても適切な代替エンドポイントと考えられると報告し,腎臓病治療薬の開発に弾みがつくものと思います。

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