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リンパ浮腫に対するリンパ節移植の現状は?

No.4938 (2018年12月15日発行) P.58

寺尾保信 (がん・感染症センター都立駒込病院形成再建外科部長)

秋田新介 (千葉大学医学部附属病院形成外科診療講師)

登録日: 2018-12-12

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  • リンパ浮腫に対する外科的治療(予防)の中で,血管柄付きリンパ節移植の適応および効果,特に乳房再建時に行うリンパ節移植に関する最近の知見を千葉大学・秋田新介先生にご教示願います。

    【質問者】

    寺尾保信 がん・感染症センター都立駒込病院形成再建外科部長


    【回答】

    【より高い治療効果と合併症の予防を目指し,知見が蓄積されてきている】

    リンパ浮腫に対する外科治療としては,リンパ管細静脈吻合,血管柄付きリンパ節移植,脂肪吸引,およびそれらを複合した治療が代表的であり,主に症例集積研究を中心とした文献をもとにして,review articleもみられます。実際の治療方針の決定にあたっては,論文や国際学会発表の件数から,それぞれの国や地域によって治療方針に国際的な偏りが生じていることがうかがえ,術式の標準化は進んでいないのが現状です。わが国ではリンパ管細静脈吻合の重要性の割合が高く,これは,リンパ管細静脈吻合技術を確立した先人らの多大なる尽力と,治療の低侵襲性などが関わっていると考えられます。

    リンパ管系は細胞外液の恒常性のみでなく免疫機構としての働きもあり,進行したリンパ浮腫に対する機能再建術としての治療効果は,リンパ節移植手術に軍配が上がるとする報告が複数あります。移植リンパ節にリンパ管細静脈吻合を追加する取り組みの報告や,移植組織に多くのリンパ節が含まれることが良好な治療結果と相関することを示した報告など,より高い治療効果を達成すべく,知見が蓄積されてきています。

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