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血管肉腫の最新の治療方針は?

No.4938 (2018年12月15日発行) P.57

菅谷 誠 (国際医療福祉大学医学部皮膚科主任教授)

藤澤康弘 (筑波大学医学医療系皮膚科准教授)

登録日: 2018-12-14

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  • 血管肉腫は肺などへの遠隔転移が多く,予後が悪い印象があります。以前はインターロイキン-2くらいしかありませんでしたが,最近はタキサン系の薬剤が有効であると聞いています。血管肉腫の最新の治療方針についてご教示下さい。筑波大学・藤澤康弘先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    菅谷 誠 国際医療福祉大学医学部皮膚科主任教授


    【回答】

    【タキサン系抗癌剤と放射線を同時併用するconcurrent chemoradiotherapy】

    皮膚血管肉腫の世界的な標準治療は広範囲切除と術後放射線治療で,欧米の5年生存率はおよそ30~40%程度です。一方でわが国の症例は予後が非常に不良で,5年生存率は10%以下です1)。欧米の研究で年齢,人種,組織学的グレード,腫瘍の大きさ,腫瘍の切除度をもとに低リスク,中間リスク,高リスクの3つに分類したところ,広範囲切除と術後放射線治療により低・中間リスク症例の予後は良好であったのに対して,高リスク症例は予後不良で生存期間中央値は1.6年でした2)

    なお,わが国で遠隔転移がなく手術を行った症例の生存期間中央値は約20カ月であり1),これはわが国の症例の多くが欧米の高リスク症例に当てはまることを意味します。つまり,欧米で標準とされる広範囲切除と術後放射線治療は,低~中間リスクに分類される症例(腫瘍径<3cmで年齢<70歳など)が適応と考えるのが妥当で,わが国に多い高齢者で腫瘍径の大きい高リスク症例は欧米でもその治療に難渋しています。

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