株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

免疫チェックポイント阻害薬と乳癌

No.4937 (2018年12月08日発行) P.56

荒木和浩 (兵庫医科大学乳腺・内分泌外科准教授)

三好康雄 (兵庫医科大学乳腺・内分泌外科教授)

登録日: 2018-12-08

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【トリプルネガティブ乳癌に対する有用性】

非小細胞肺癌をはじめ,様々な悪性腫瘍において免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブ,ペムブロリズマブ,イピリムマブの有用性が示されている。免疫チェックポイントによる免疫抑制にはT細胞が関与している。T細胞は,T細胞受容体によって抗原提示細胞からの多種多様な外来抗原を認識し,免疫反応を誘導・制御する。がんは自身に対する免疫応答を回避するため,チェックポイント機構であるT細胞のprogrammed death-1(PD-1)やcytotoxic T lymphocyte antigen-4(CT LA-4)を介して免疫寛容を生じる。これらを阻害する抗体薬が,冒頭の阻害薬である。

乳癌は免疫原性が低いと考えられていたが,腫瘍浸潤リンパ球(TILs)やゲノム遺伝子の解析により,トリプルネガティブ乳癌にて免疫原性が高いことが明らかとなってきた。現時点で乳癌に対する免疫チェックポイント阻害薬の承認は世界中でないため,いずれのサブタイプや病期に対しても阻害薬単独,あるいは併用(抗癌剤治療,放射線治療,異なる機序を持つ免疫チェックポイント阻害薬,分子標的治療薬など)での数多くの治験がなされている。一例としてatezolizumabが挙げられ,進行再発トリプルネガティブ乳癌の112例を対象とした用量設定試験では10%の効果を認め,それら効果のあった症例の奏効期間中央値は21カ月で,その全例が2年間生存していた。特にTILsにPD-L1の発現が高いものは奏効率が高かった(13% vs. 5%)1)。乳癌での免疫チェックポイント阻害薬の最適な治療方法の確立が望まれる。

【文献】

1) Cancer Discov. 2017;7(6):OF10.

【解説】

荒木和浩*1,三好康雄*2  兵庫医科大学乳腺・内分泌外科 *1准教授 *2教授

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top