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下肢切断リハビリテーションの最新動向

No.4934 (2018年11月17日発行) P.57

里宇文生 (義肢装具サポートセンター付属診療所所長/慶應義塾大学リハビリテーション医学)

里宇明元 (慶應義塾大学リハビリテーション医学教授)

登録日: 2018-11-19

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【技術の進歩に伴い,義足歩行の可能性が拡大】

下肢切断者のリハビリテーション分野での変化としては,①リハビリテーション実施時の懸垂方法としてシリコン製のライナーを用いたライナー式が普及したこと,②工学技術の進歩に伴い公的制度の範囲で使用できる義足部品が増えたこと,③手術で膝関節の温存に成功した症例が出現したこと,が挙げられる。

懸垂方法ではライナー式が増加し,断端形成,断端保護,断端周径変化への対応に優れ,リハビリテーションが円滑に進められるようになった。義足部品では,コンピュータ制御の膝継手が,2013年に「補装具の種目,購入又は修理に要する費用の額の算定等に関する基準」(以下,基準表)に記載され,公的制度での購入が可能となり,健常側下肢に機能障害を有する症例や両側下肢切断者での義足歩行が可能となった。また,低活動者向けのエネルギー蓄積型足部が09年より基準表に記載され,屋外歩行を獲得する症例が増加した。

手術については,骨移植術,骨接合術により,膝関節の温存や断端長の延長に成功した症例がみられている。これらの術式の選択には,断端部の感染や悪性腫瘍のコントロールがついている,手術に伴い他関節部位に機能障害を生じない,断端長や軟部組織量の選択が適切であることが重要であるが,症例によっては恩恵を得ている。
切断リハビリテーション分野では,技術の進歩に伴い,義足歩行の可能性が広がるため,時代とともに義足作製やリハビリテーションの適応範囲を拡大していくことが求められる。

【解説】

里宇文生*1,里宇明元*2  *1義肢装具サポートセンター付属診療所所長/慶應義塾大学リハビリテーション医学  *2慶應義塾大学リハビリテーション医学教授

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