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抗SSA抗体陽性妊婦の管理

No.4934 (2018年11月17日発行) P.56

谷村憲司 (神戸大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター講師)

山田秀人 (神戸大学産科婦人科教授)

登録日: 2018-11-18

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【先天性完全房室ブロックの予防法や胎児治療法は?】

抗SSA抗体陽性妊婦の2%に出生児の先天性完全房室ブロック(CCAVB)が発生する。CCAVB児の死亡率は15~30%で,生存児の2/3が恒久的ペースメーカーを要する。

以前よりCCAVBの胎児治療としてフッ化ステロイド(デキサメタゾン,ベタメタゾン)の母体投与が行われてきた。しかし,CCAVBを発症してから胎児治療を行っても,ほとんどが無効であることがわかってきた。そこで,パルスドプラ検査による胎児僧房弁-大動脈弁房室伝導時間(MV-Ao AV間隔)測定等により,胎児の1度房室ブロック(I°AVB)を診断・治療することでCCAVB発症を予防する試みがなされている1)。一方,tissue velocity imagingという超音波計測を用いることでI°AVBが6人で診断され,胎児治療により全例でCCAVBを予防できた,とする報告がある2)。また,今後,胎児心電図が臨床応用されるようになればI°AVBの診断がより容易に,そして,正確に行えるようになる可能性がある。

現在,CCAVBの確立した予防法や胎児治療法はないが,非常に予後不良であるため,抗SSA抗体陽性妊婦はNICUのある周産期施設で管理することが望ましいと考える。

【文献】

1) Friedman DM, et al:Circulation. 2008;117 (4):485-93.

2) Rein AJ, et al:Circulation. 2009;119(14): 1867-72.

【解説】

谷村憲司 神戸大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター講師

山田秀人 神戸大学産科婦人科教授

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