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肺移植の進歩と課題

No.4929 (2018年10月13日発行) P.53

伊達洋至 (京都大学呼吸器外科教授)

登録日: 2018-10-12

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【発展を続ける移植医療】

肺移植は,1983年に世界で初めて成功した。国際心肺移植学会によると,年間約4000例の肺移植が施行され,累計症例数は6万例を超えた。しかし,肺移植後の5年生存率は50%台にとどまっており,他の固形臓器移植よりも予後は不良である。これは,慢性拒絶反応が克服されていないこと,感染症の比率が高いことによる。ドナー特異的抗体の発現による液性拒絶反応の予後に与える影響や,慢性拒絶反応との関連が注目されている。

臓器不足対策として,欧米では心臓死ドナーからの肺移植が普及している。また,摘出肺を体外で灌流(ex-vivo lung perfusion:EVLP)することにより,心臓死ドナー肺やマージナルドナー肺を移植前に評価したり,体外で治療したりすることが普及している。

一方,脳死ドナーの少ないわが国の肺移植は,98年に生体肺移植の成功で始まった。2000年には待望の脳死肺移植も開始された。10年に臓器移植法が改正され,家族の判断でドナー臓器の提供が可能になり,脳死肺移植数が約5倍に増加した。わが国には,9つの肺移植認定施設(東北大,獨協医大,東京大,千葉大,京都大,大阪大,岡山大,福岡大,長崎大)があり,18年8月までに642例(脳死427例,生体215例)の肺移植が施行された。その5年生存率は70%を超えており,国際心肺移植学会の報告よりも良好である1)

【文献】

1) Date H:J Thorac Dis. 2016;8(Suppl 8):S631-6.

【解説】

伊達洋至 京都大学呼吸器外科教授

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