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(2)直腸癌に対する拡大手術の適応と治療成績[特集:直腸癌手術治療の現状]

No.4928 (2018年10月06日発行) P.34

池田正孝 (兵庫医科大学外科学講座臨床教授)

木村 慶 (兵庫医科大学外科学講座下部消化管外科)

片岡幸三 (兵庫医科大学外科学講座下部消化管外科)

別府直仁 (兵庫医科大学外科学講座学内講師)

内野 基 (兵庫医科大学外科学講座炎症性腸疾患外科准教授)

池内浩基 (兵庫医科大学外科学講座炎症性腸疾患外科主任教授)

冨田尚裕 (兵庫医科大学外科学講座主任教授)

登録日: 2018-10-09

最終更新日: 2018-10-03

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直腸癌に対する拡大手術の適応となる疾患は,初発直腸癌で周囲臓器への浸潤例や骨盤内再発である。その目的は,局所にある癌を完全・確実に切除することである

再発直腸癌に対する拡大手術は,初発直腸癌に比べ,手術時間・出血量が多く,術後合併症率も高い。R0切除率は低くhigh volume centerの成績が良い傾向にある

直腸癌に対する拡大手術は,排便排尿障害や性機能障害など術後のQOLを大きく変化させることになるため,術前のインフォームドコンセントは非常に重要である

1. 拡大手術の適応

直腸癌手術での拡大手術の適応は,初発直腸癌で周囲臓器への浸潤例,または骨盤内再発例の場合である。前者は,明らかに周囲臓器に浸潤している際と,術中判断で浸潤が否定できない場合がある。後者も,明らかに周囲臓器に浸潤している場合があるが,明らかな浸潤はみられなくても切除断端を確保してR0切除を行うために他臓器合併の拡大切除が必要となる。特に仙骨前再発に伴う仙骨合併切除がその典型である。その理由は,再手術のため正常な解剖構造が破壊され,癒着や線維化,出血により腫瘍断端の確保ができないことである。本特集では進行・再発直腸癌に対する拡大手術の適応と手術成績を述べる。

2. 拡大手術の目的

拡大手術において最も大切なことは,局所再発を起こさないために確実に完全に腫瘍を取り切る,すなわちR0切除を行うことである1)2)

1 初発直腸癌に対する拡大手術

初発直腸癌に対する骨盤内臓全摘術(total pelvic exenteration:TPE)の適応につき,Williamsら3)は1988年に,局所のみに存在しen blocに切除可能な症例に対しては良い適応になると報告している。手術関連死は5%以下であるべきで,尿路変向術に伴う合併症や骨盤死腔炎が問題であるとしていた。Sprattら4)の報告では,局所にのみ進展し,リンパ節・遠隔転移をきたしにくいタイプのものにTPEは良い適応があるとしている。

Review articleとして,Daviesら5)は1979〜2009年,Yang6)らは2000〜2012年の初発と再発を含めた報告をまとめている。その中で,術前評価として病理学的に切除断端が確保されることが重要であると述べている。初発直腸癌のみでは,R0切除率の記載のある報告が97〜100%と非常に良好であった。術後合併症率は37〜75%,術後30日間の死亡率は0〜9%であった。局所再発率は4.8〜34%とかなりの幅を認めた。5年生存率は48〜83%と大きな開きが認められた。予後不良因子は断端陽性,リンパ節転移陽性,年齢等であった。最近の初発直腸癌に対する拡大手術の成績を表1に示した。単施設の報告7)8)と27施設からのデータを集めた報告1)である。手術時間は7〜8時間程度,骨盤壁合併切除率は8〜15%,R0切除率は80〜90%と,局所再発手術に比較すると短時間で侵襲は少なく,切除率も高率であった。合併症率,死亡率も低くそれぞれ10〜40%,1%程度であった。5年生存率はR0切除で60%程度で,初発直腸癌のStageⅢb程度であるが,局所再発率は16%と高値であった。予後因子はこれまでの報告と同様,断端陽性,リンパ節転移陽性であった。

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