【質問者】
松原 雄 京都大学大学院医学研究科腎臓内科学講師
【移植前に原疾患を正確に診断することで,再発への対策が可能となる疾患がある】
腎移植後レシピエントは現在,わが国でも1万6000人を超えているとされ,腎移植は今や血液透析に次ぐ第2の腎代替療法となっています。腎移植後生着年数も15年を超える症例が半数となり,移植腎の長期生着のために,拒絶反応だけではなく移植後再発性腎炎を含めた腎臓内科的管理が着目されています。
慢性糸球体腎炎の多くは循環因子や液性因子を原因とすることから,移植腎への再発がしばしば問題となります。腎移植後再発腎炎は原疾患ごとに再発率や再発時期,移植腎機能喪失のリスクが異なり,ほとんどの疾患はいまだ再発の予防法,治療法が確立していません。オーストラリアとニュージーランドのレジストリでも,IgA腎症,膜性腎症の再発は,特に腎移植後10年を経過後に増加することが示されています1)。また,同レジストリでは,腎炎を原疾患とするレシピエントの半数は,再発腎炎が原因で移植腎機能喪失に至ることも示されています1)。
残り811文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する