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■NEWS 医療界は応召義務を「厳しく捉えすぎ」―厚労省研究班が中間整理、ケースごとに解釈を提示へ

No.4927 (2018年09月29日発行) P.20

登録日: 2018-09-20

最終更新日: 2018-09-20

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厚生労働省の研究班は19日、「医師の働き方改革に関する検討会」で、医師法上の応召義務に関する中間整理を報告した。研究班は、医療界が応召義務を法的解釈より厳しく捉えていることが医師の過重労働の原因になっているとし、現在の応召義務を「医師の倫理などを背景とした訓示的規定」と位置づけた。今後「救急医療」「患者の迷惑行為」「勤務時間外の対応」といったケースごとに解釈や対象範囲を整理する。

研究班の報告によると、応召義務は違反者に損害賠償を求めるなどの強い規制ではなく行政処分を受けた例はないという。一方で、実態としては「法的効果以上に医師個人や医療界にとって大きな意味を持ち、医師の過重労働につながってきた側面がある」とし、応召義務が「際限のない長時間労働を求めていると解することは正当ではない」と強調。その上で、地域の医療提供体制を確保しつつ、医師個人に過剰な労働を強いることのない整理を、個別ケースに応じて体系的に示す必要があるとした。

主任研究者の岩田太氏(上智大法学部)は、医師の過重労働解消に向けた論点について、「医師の健康を損ねない形で国民の健康、生命の維持のために働くというバランス」と指摘。「応召義務自体はその論点とはあまり関係がない」と述べた。

報告を受け、検討会の今村聡構成員(日本医師会)は、「勘違いしていた部分があった。(過重労働問題は)応召義務とは別の視点で考える必要がある」との見解を示した。山本修一構成員(千葉大病院)は「応召義務の呪縛からこれで逃れることができる」と安堵の色を見せた。

応召義務の考え方について中間整理を報告した岩田参考人

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