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全身性エリテマトーデスにおけるヒドロキシクロロキン

No.4926 (2018年09月22日発行) P.53

菊池 潤 (慶應義塾大学リウマチ・膠原病内科)

登録日: 2018-09-20

最終更新日: 2018-09-18

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【全身症状,筋骨格系症状改善に有効,かつ再燃抑制効果も報告されている】

抗マラリア薬であるヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine:HCQ)は,皮膚および全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)に対して,わが国では2015年7月に承認された。主に皮膚症状,倦怠感等の全身症状,筋骨格系症状に有効であるが,海外のランダム化試験でSLEの再燃抑制効果が示されており1),観察研究では臓器障害予防や生命予後改善効果が報告されている。

HCQの脂肪組織中の濃度は低いため,理想体重に基づき投与量を設定する。長期の累積により網膜症のリスクが上昇するため,投与前と投与後,少なくとも1年に1回の定期的な眼科検査が必要である。投与初期には消化器症状と皮膚過敏反応に,長期では網膜症に加えて筋症・神経症,低血糖,骨髄抑制に注意する。HCQ内服による催奇形性および胎児毒性は複数の報告で示されておらず,妊娠中および授乳中の使用は容認されると考えられている2)

詳細は日本皮膚科学会,日本リウマチ学会,日本眼科学会のガイドラインおよび,適正使用の手引きを参照されたい。

【文献】

1) Canadian Hydroxychloroquine Study Group:N Engl J Med. 1991;324(3):150-4.

2) Clowse ME, et al:Arthritis Rheum. 2006;54 (11):3640-7.

【解説】

菊池 潤 慶應義塾大学リウマチ・膠原病内科

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