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膵疾患に対するコントラストハーモニックEUSの現状

No.4923 (2018年09月01日発行) P.57

石田祐介 (久留米大学医学部内科学講座消化器内科)

塩見英之 (神戸大学医学部附属病院消化器内科)

登録日: 2018-08-31

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  • 膵疾患の診断において内視鏡診療,特に超音波内視鏡(endoscopic ultrasonography:EUS)は重要なウェイトを占めるようになってきています。
    最近では超音波造影剤を用いたEUSの有用性の報告が多くなされており,膵癌診療ガイドラインでも言及されています。しかし保険収載の問題などから,広く一般診療に普及しているとは言い難い状況です。
    コントラストハーモニックEUSの現状について,神戸大学・塩見英之先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    石田祐介 久留米大学医学部内科学講座消化器内科


    【回答】

    【胆膵病変の早期診断,良悪性の鑑別診断に寄与し,胆膵領域癌の早期発見に大きく貢献する】

    EUSは,胃や十二指腸などの消化管の中から超音波検査を行うため,近接して膵臓の観察が可能となり,高い空間分解能,解像度を得ることができます。また消化管ガスによるアーチファクトも回避できるため死角が少なく,CTやMRIで指摘することが困難な小さな腫瘍の描出が可能であり,膵疾患の画像診断において必要不可欠な検査法となっています。

    さらに近年,EUSと相性がいい超音波造影剤ペルフルブタン(ソナゾイド)が開発され,コントラストハーモニック超音波内視鏡検査(造影EUS)が可能となりました。この超音波造影剤は,CTで使用されるヨード系造影剤とは異なり,組織間質へ移行せず,血管内にとどまる血行動態を有しているため,高い空間分解能とリアルタイム性をもつEUSと併用することにより,病変内の微細な血行動態を加味した評価ができます。これにより腫瘤性病変の存在診断のみならず,腫瘤の鑑別診断にも有用であることが報告されています。

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