株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)における褐色細胞腫に対する副腎機能温存手術

No.4921 (2018年08月18日発行) P.56

五十嵐健人 (日本医科大学内分泌外科/五十嵐内分泌クリニック院長)

登録日: 2018-08-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【大規模後ろ向き調査で機能温存手術施行例の57%でステロイド補充不要。再発は3%】

MEN2における褐色細胞腫の治療は原則,手術による副腎摘除である。両側の副腎に対する手術が行われると終生,ステロイド内服を必要とされ,長期ステロイド内服に伴う合併症や感染,外傷,手術などに伴う急性副腎不全のリスクが高まる。MEN2における褐色細胞腫の悪性化の頻度は5%程度であるため,副腎機能温存の観点から副腎機能温存手術の良い適応とされている。

近年,欧米,中国,インドのMEN2患者1210例の後ろ向き調査の結果が報告され,その中で副腎機能温存手術の評価がなされた1)。全症例のうち563例に褐色細胞腫を認め,手術を施行した552例中79%(438例)に副腎切除手術がなされた。そのうち339例は両側性で,そのうち86%(292例)に術後ステロイドホルモン補充が必要であった。一方で,21%(114例)に副腎機能温存手術がなされ,そのうち82例は両側性であったが,そのうち57%(47例)はステロイドホルモン補充が不必要であった。平均10年の観察期間で,副腎機能温存手術例の3%に再発を認めている。

副腎機能温存手術はMEN2患者にとって非常に有意義な治療法である。残存副腎が正常副腎容積の25%以下になると副腎機能を維持することは困難であるが,腫瘍の大きさや位置を十分に検討した上で積極的に考慮する術式である。

【文献】

1) Castinetti F, et al:Lancet Oncol. 2014;15(6): 648-55.

【解説】

五十嵐健人 日本医科大学内分泌外科/五十嵐内分泌クリニック院長

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top