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【コラム】 骨盤位全牽引術[特集:今、話題になっていること─産科編]

No.4913 (2018年06月23日発行) P.44

中井祐一郎 (川崎医科大学産婦人科学教室1特任准教授/放送大学教養学部全科履修生)

登録日: 2018-06-25

最終更新日: 2018-06-20

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今をときめくある周産期センターのサイトには,「骨盤位,双胎,前回帝王切開後は原則全例帝王切開とさせて頂きます」と明記されている。一方,同院の研修医向けの案内には,「あらゆる産婦人科疾患が習得できます」とも記載されている。日本産科婦人科学会の「2017年以降に研修を始める専攻医のための研修カリキュラム」には必須として「単胎骨盤位への対応」が挙げられているが,これもまた経腟分娩を対象とする訳ではないのだろう。そう考えれば,骨盤位経腟分娩は,もはや習得すべき手技ではないのかもしれない。しかしながら,帝王切開と経腟分娩とでは産婦に対する侵襲の大きさは明らかに異なる。このことは,まず女性である産婦に産科医療を提供する者として覚えておいてよかろう。

骨盤位経腟分娩の手技や成績については拙稿1)を参照して頂くこととするが,全牽引術についての定義は不明確でもある。ここでは,子宮口全開後において,先進部の排臨前や下肢脱出時に速やかに娩出が求められた場合の牽引手技と定義しておく。これを行うには,胎児と骨盤の相対的位置関係を瞬時に判断し,上肢解出を含む多彩な手技を適時に用いる能力が求められる。非頭位第2子の双胎経腟分娩には必須であるばかりか,高位での臍帯脱出時における,第2子非頭位の優位性を具現化しうるというメリットもある。骨盤位経腟分娩における緊急事態を想定すれば,全牽引術は必須の技術であるが,分娩管理の精華と言える本手技を手中に収めるのは多くの困難がある。

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