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経口胆道鏡診療の現況と今後【ERCPでは判別不能な病変の診断,直視下での治療が可能。関連処置具のさらなる改良・開発が望まれる】

No.4912 (2018年06月16日発行) P.57

加藤博也 (岡山大学病院消化器・肝臓内科)

石田祐介 (久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門)

登録日: 2018-06-15

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  • 最近の経口胆道鏡の進歩は目覚ましく,その有用性について多くの報告があります。しかし,その一方で技術的難易度や費用の面から広く汎用されているとまでは言い難い現状もあります。
    経口胆道鏡診療の現況と今後について,久留米大学・石田祐介先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    加藤博也 岡山大学病院消化器・肝臓内科


    【回答】

    近年の経口胆道鏡の発展は目覚ましいものがあり,胆道癌診療ガイドラインにおいてもその有用性に言及されています。経口胆道鏡とは十二指腸乳頭部から細径内視鏡を総胆管内に挿入し,胆管内腔の観察を行うものです。内視鏡的逆行性胆道膵管造影(endoscopic retrograde cholangiopancreatography:ERCP)では判別不能な胆管粘膜病変の診断や胆道癌の進展範囲診断,さらには巨大総胆管結石の治療などに使用されています。また拡張膵管内の観察を行う経口膵管鏡としても応用されています。

    経口胆道鏡はERCPに引き続き側視鏡の鉗子口を介して直径3mm程度の極細径スコープを挿入する親子式と,経鼻内視鏡などの細径スコープを直接十二指腸乳頭部から総胆管内へ挿入する直接胆道鏡に分類されます。

    親子式には,極細径化されたオリンパス社製の電子スコープ(CHF TYPE B260)と,ディスポーザブル製品であるボストン・サイエンティフィック社製のSpyGlassTM DSの2機種が主に使用されています。

    CHF TYPE B260は,狭帯域特殊光観察(narrow band imaging:NBI)を併用した高画質が得られることが最大の強みであり,微細な胆管粘膜構造の観察に優れています。しかし,耐久性が低いこと,2つの内視鏡システムと2名の内視鏡医が必要であること,鉗子口径が1.2mmと小さいため施行可能な処置に制限があること,といった問題点があります。

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