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CDI診療ガイドライン案でシンポ 化学療法学会・感染症学会合同学会

No.4912 (2018年06月16日発行) P.18

登録日: 2018-06-06

最終更新日: 2018-06-06

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日本化学療法学会と日本感染症学会の合同学会が岡山市で開催され、5月31日にはクロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)診療ガイドラインに関するシンポジウムが企画された。両学会の合同委員会は現在、日本初となるCDI診療ガイドラインを作成中で、シンポではガイドライン案の概要について作成委員会の委員が講演した。

なお、ガイドライン案は5月にパブリックコメントが実施され、寄せられた意見を踏まえて改訂作業が行われている。ガイドラインは今年度中に完成する予定。

シンポではCDIの定義について吉澤定子氏(東邦大)が講演。「2歳以上でBristol Stool Scale5以上の下痢を認め、CDI検査にて便中のトキシンが陽性もしくはトキシン産生性のC.difficileを分離する、もしくは下部消化管内視鏡や大腸病理組織にて偽膜性腸炎を呈する」との定義を示した。2歳未満のCDIを定義しなかった理由については「2歳までは保菌率が高いため、他の感染症もしくは非感染症の下痢症の原因が除外されていない限り2歳未満でのCDI検査は推奨されない」と解説した。

治療については松元一明氏(慶大)が説明した。ガイドライン案では、初発で非重症と判断される症例の第一選択薬をメトロニダゾール、第二選択薬をバンコマイシンとしている。この理由について松元氏は、メトロニダゾールとバンコマイシンの治療効果を検証したRCTをメタ解析した結果、治療効果に差はなかったものの「メトロニダゾールは薬価が安いことと、バンコマイシンは使用量が多くなるとバンコマイシン耐性腸球菌が多くなるため」と述べた。

一方、重症患者に関してメタ解析では、バンコマイシンのほうがメトロニダゾールより有意に治療効果があった。そのためガイドライン案では初発の重症例の第一選択薬をバンコマイシンとしている。

また、近く薬事承認される見込みの新薬フィダキソマイシンについても記載し、再発例・難治例の第一選択薬、重症例の第二選択薬とした。再発予防に関して講演した大毛宏喜氏(広島大)は、「海外では重症型でも第一選択薬として推奨しているので、ここはいろいろな意見があると思うが、費用対効果を考えて、どういう症例に使えば価値が生まれるのか、今後日本での検証が必要だ」との考えを示した。

シンポの座長を務めたガイドライン作成委員会委員長の國島広之氏(左、聖マリアンナ医大)と中村敦氏(名古屋市立大)

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